「
パリで働く女性とその家族が、ままならない人生でも幸せへ向かって奮闘する姿を描いた本作。職業や年齢が異なるさまざまな女性たちの群像劇で、職務と母親業のはざまで不安に揺れる大統領、2人の子供を持つシングルマザーのジャーナリスト、教え子との恋愛を楽しむ大学教授、あるトラウマで子供を生むことを恐れる小児科医、音信不通の恋人の子供を身ごもった花屋の女性などが登場する。
マンシオン・シャールは前作「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」で知られる監督だ。まず「パリの家族たち」におけるテーマを問われた彼女は「母と子。自分と母の普遍的な関係を描きたかった」と切り出す。そして「そこには国境や時代を越えたものがあるはず。そして子供を産むか、産まないかといった社会的なプレッシャーにさらされる女性たち、彼女たちが抱えている愛や罪悪感を、子供や親との関係を通した普遍的な視点で語りたかったんです」と作品の根底にある思いを明かす。
フランスでは、夫婦ではなく1人で子供を育てる一人親の世帯は200万を超えるという。マンシオン・シャールの口からは、特にシングルマザーの場合において、父親が経済的に支援しないケースが多く、それが社会問題になっていることも語られた。さらに「幼稚園や保育園の空きを見つけるのはフランスでもとても大変。見つからない場合はベビーシッターを探さなければなりませんが、もちろんお金がかかります」と日本における待機児童問題と同じ課題を抱えた現状に触れる。
最後にマンシオン・シャールは「働いている母親たちは、ある種の罪悪感を抱えています。私はこの映画を通して、その罪悪感は自分だけのものではない、みんな同じ気持ちを抱えていることを伝えたかった」と力強く述べる。そして「女性の中には、家事も育児も完璧にこなさないといけないと思う人が多く、彼女たちはがんばりすぎてしまう。しかし、完璧であることは難しい。映画で描かれる女性としての当たり前の姿に触れて、罪悪感を減らしてほしい」と呼びかけた。
「パリの家族たち」は5月25日より東京・シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次ロードショー。
マリー・カスティーユ・マンシオン・シャールの映画作品
リンク
- 「パリの家族たち」公式サイト
- 「パリの家族たち」予告編
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
雅 @masaooota
働く母親の“罪悪感”を減らしたい、「パリの家族たち」監督が作品に込めた思い - 映画ナタリー https://t.co/XSCHt2ZLKN