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本作は、妻がある日突然行方不明になり、仕事や育児を1人でこなさなければならなくなった主人公オリヴィエの奮闘の日々を描く人間ドラマ。第71回カンヌ国際映画祭批評家週間に出品されたほか、ベルギー版アカデミー賞のマグリット賞で作品賞や監督賞含む5部門に輝いた。オリヴィエを演じたデュリスは「フランスの批評家は厳しいけれど、この作品に関しては激奨する内容が多かった。 観てくれた人たちが『この映画が好きだ』と表立って言ってくれるような作品なんだ」とほほえむ。
ベルギー出身のセネズは本作が長編監督2作目となり、初めての来日を果たした。実生活でも子供を持つ父であり、妻と別れた経験もあるセネズは「幸い僕らは別れたあともお互いに子育てを共有できた。でも、もしそうじゃなかったら父親としての責任を果たせたのか?と自問自答したのがこの映画の出発点だった」と明かす。
本作の撮影現場で、セネズ自身はセリフの書いた台本を持っていたが、俳優たちにはそれを渡さずアドリブで演技させたという。その理由を「リアルなやり取りがあるからこそ観客は信憑性を見いだし、共感してくれる。だから自発的な演出を重要視したんだよ。それに僕1人が考えるより、みんなで考えたほうがいいものが生まれる。さらにいいシナリオを目指すという理由もあったんだ」と説明。そのような演出を受けたデュリスは「撮影初日は心配だった」と打ち明けるも「見事に成功したのは監督の性格のよさのおかげ。好意的に物事を受け止めてくれるし、みんなの提案にポジティブな意見を述べてくれる。だから撮影自体が豊かになって、高いレベルに到達したんだと思う」と続け、セネズへの大きな信頼を伝える。実生活でも父親であることから、主人公については「子供たちとの日常的なシーンでは特に共感できたよ」と語った。
またセネズは本作の脚本を執筆する中で「シングルファーザーよりも、子供を置き去りにする女性への世間の目の厳しさが想像以上のものであると気付いた」と明かす。「僕は1人のアーティストとして、タブーは掘り下げるべきだと考えた。だから子供を置き去りにした母親を罰する描き方はせず、女性の自由についても描いた作品になっているよ。フランスの人々は『男女平等を!』と言ってるけど、実践されているかと言うとまだまだだね」と国の実情に触れた。
「パパは奮闘中!」は4月27日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。
ロマン・デュリスの映画作品
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「パパは奮闘中!」ロマン・デュリス来日、アドリブだらけの撮影で監督を信頼
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