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本作は、犯罪で生計を立てながら東京の下町でひっそりと暮らす一家の姿を描いた物語。第71回カンヌ国際映画祭のパルムドールをはじめ、第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞の外国語映画賞など数々の賞を獲得している。イベントではまず、キャストの松岡茉優の印象について質問が。是枝は「もともと注目していて、すごく強いお芝居をされるなと。僕、『ちはやふる』が大好きなんですよ。実際にお仕事をすると、思っていたよりも共演者との芝居の中で、自分の役柄を柔軟に作り上げていくタイプでした。その点が素晴らしくてファンになりました」と称賛した。
海外の観客の反応を尋ねられると「自分たちの隣で起こっていてもおかしくない出来事として物語を捉えてくれたお客さんが多かったです。あと役者たちのアンサンブルが素晴らしいと言っていただけたのが何よりうれしかったですね」と述懐。貧困を抱えた人物たちへのリサーチについて聞かれると「作品によっては深くリサーチをすることがありますが、今回は想像した部分が多いです。ただ、養護施設を回ったりはしました」と明かし、養護施設の女の子が「スイミー」の絵本を是枝たちの前で朗読したというエピソードを語る。「本当は親に聞いてもらいたかったんだなと思いました。そうやってそのとき受け取ったものの形を変えて、作品に取り入れています」と続けた。
社会問題を映画で扱うスタンスについて質問が飛ぶと、是枝は「ドキュメンタリーをやっていた頃から変わらないんですが、もう少しその問題を掘り下げてみたいという気持ちが先にあります。自分で選んだモチーフにどれだけ切実なものとして向き合えるかが、映画の強度として出るだろうと思っています」と回答。最後に数多くの国で上映されていることへの心境を問われると「ここは本当に自分がいていい場所なのかと思いつつ、レディー・ガガと写真を撮ったりしています(笑)。最近は海外の授賞式に行くと、いつかこの会場にいる方たちとご一緒できたらいいなと思うようになりました」と述べ、イベントを締めくくった。
「万引き家族」は全国の一部劇場で上映中。なお、本作が外国語映画賞にノミネートされている第72回英国アカデミー賞の授賞式は日本時間2月11日に、第91回アカデミー賞の授賞式は日本時間2月25日に開催される。
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是枝裕和の映画作品
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- 「万引き家族」公式サイト
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是枝裕和「万引き家族」で松岡茉優のファンに、イベントで観客とQ&A実施
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