木城ゆきとによるマンガ「銃夢」を
エプスタインは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズをはじめ、マーベル・シネマティック・ユニバース作品、「猿の惑星」「メイズ・ランナー」シリーズなど数々の映画でVFXを制作してきたWETAデジタルに所属する人物。キャメロンとは「アバター」をともに手がけたことでも知られる。試写会ではキャメロンとロドリゲスのリレー形式のビデオメッセージもスクリーンにかけられた。
フッテージ映像には、アリータが初めてベッドで目覚めるシーンや、アクション満載のバトルロイヤル競技“モーターボール”の場面など計8つのクリップを収録。杉山は迫力のアクションシーンに圧倒されつつ、全編ローサ・サラザールのモーションキャプチャーで描かれたアリータの描写力に注目する。そして「観ているうちにアリータというヒロインに恋する、好きになってしまう。ここまで彼女を愛らしく表現するためにたびたび公開が延期されたんだと思いました(笑)。本当に待ったかいのある映像です」と感想を述べた。
続いてエプスタインは、シークエンスVFXアドバイザーという自身の役割について「監督とプロデューサーのビジョンを、明確にアーティストに伝えることが私の仕事」と説明し、「我々のチームが担当したのは600カットほど。中でもバトルシーンを多く手がけています」と明かす。映画は「銃夢」の映画化権を所有していたキャメロンが長年書きためた600ページにも及ぶメモを端緒に制作された。「我々にとってまさにバイブルでした。脚本、デザインやアートワークなど、WETAが参画する以前から形はほとんどできあがっていました」と述懐するエプスタイン。たびたび制作に「駄目出し」をするというキャメロンの口癖は「原作に忠実に!」だったという。例えばティザービジュアルに用いられた、アリータが目の下に血を塗るシーンでは、「ちょっと位置が違う。原作の◯巻の◯ページにあるから、参考にしてくれ」と詳細な指示を飛ばしたこともあったそうだ。
キャメロンが特にこだわったのは、全身サイボーグであるアリータを原作に忠実なビジュアルにすること。杉山は、2次元のキャラクターに近いビジュアルを実写の中に置くことの難しさについて尋ねる。エプスタインは、深くうなずきながら「我々がこれまでに手がけたゴラム、サノス、シーザーといった代表的なキャラクターは少し動物的だったり、エイリアンであったりしました。しかし、アリータはとても人間らしい存在。それを成立させることがもっとも難しい部分でした」と回答。解決の糸口になったのは、“現実に存在するもの”を使うことだったという。「ローサの演技、彼女の口や目を頼りにすると非常に現実味のある人間らしさが出てきました。感情をキャプチャーするんです。ローサの演技があったからこそアリータを表現できました」と続けた。
さらにエプスタインは、VFXにおけるブレイクスルーだった「アバター」の頃と比べて技術が進化した点を「髪の毛の表現」と述べ、「あの頃はリボンのように大まとめでシミュレーションしていました。しかし現在は、すべての毛1本1本の動きをコントロールしています」と語る。また本作は2台のカメラを用いて顔のキャプチャーが行われているため、過去の作品より顔の奥行きが表現されているという。
イベントでは日本のアニメに関する話題も。WETAでは「ポケットモンスター」の人気が高いそうで、エプスタインが新作を鑑賞した際、劇場に多くの社員が駆けつけていたことも明かされた。さらに「もちろんジブリも人気。中には車のナンバープレートが『となりのトトロ』の人もいる。僕も自宅にジブリ作品のポスターを飾っています」と打ち明ける。杉山は「WETAのテクノロジーで動くネコバスが観てみたいですね(笑)」と反応し、イベントを締めくくった。
日本語吹替版では上白石萌音がアリータに声を当てた「アリータ:バトル・エンジェル」は、2月22日より全国でロードショー。
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- 「アリータ:バトル・エンジェル」公式サイト
- 映画「アリータ:バトル・エンジェル」公式 (@AlitaMovieJP) | Twitter
- 「アリータ:バトル・エンジェル」予告編3
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