イランの監督
本作は奈良・天理市を舞台に、名家の跡継ぎ問題に悩む家族3世代の愛と葛藤を描く人間ドラマ。二階堂家の伝統と威厳を保とうとする主人公・二階堂辰也を
映像には、由子に洋輔が「由子と結婚できるなら、俺名字変えてもいいから」と思いを告げるさまや、「自分の好きでもない人と結婚なんてしないで」と説得する由子に辰也が「二階堂の問題は俺の問題だ」と断言するシーンが収められた。また新たに公開された場面写真4枚には、辰也と由子が背中合わせで立っている姿などが捉えられている。
このたび、歌人の俵万智から推薦コメントが到着。俵は「イランの監督が、これほどまで深く日本の『家』問題に入りこめたことに驚くが、入りこんだ先に普遍的な景色が見えたからこそ、生まれた映画なのだと思う」と述べている。
「二階堂家物語」は1月25日より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
俵万智 コメント
「家」の存続という問題ゆえに、対立し反発しあう父・辰也と娘・由子。辰也の母親ハルへの思いは、息子や孫としての愛情を前提としつつも複雑だ。そこに父娘それぞれの恋愛模様が絡まって、物語は進行する。ハルの影が薄くなるにつれて、辰也と由子にとって家の問題が色濃くなってくるところが、まことにリアル。家をはさんで反対側に立っていた父娘が、いつのまにか同じ側にいる。そのことに気づいた時から、二人はむしろ同志なのだ。押しつけあっていた「家」を、逆に引き受けようとする心の変化。その流れがみごとに描かれていて、なにゆえの変化なのかに思いが至る時、深い感動を覚えずにはいられない。イランの監督が、これほどまで深く日本の「家」問題に入りこめたことに驚くが、入りこんだ先に普遍的な景色が見えたからこそ、生まれた映画なのだと思う。
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