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本作は本谷有希子の同名小説を原作に、うつが招く過眠症で自分をコントロールできない寧子と、彼女と同棲中のゴシップ雑誌編集者・津奈木の関係を描くラブストーリー。寧子を演じた趣里は本作の反響について「Twitterでメッセージをくれたり、お手紙をいただいたりして。私も寧子に共感する部分がある人なので、私だけじゃないんだなって思えます。すごく勇気をもらえて、感謝の言葉でいっぱい。がんばって生きててよかったなという気持ちになります」と真摯な思いを語る。そして「(寧子を)『演じてくださってありがとうございます』と言ってくださる方とか。いやいやいや……こちらこそ。届いております」と恐縮した様子を見せた。
反響のすごさに驚いたという関根は「好き嫌いが分かれる映画だなと正直思っていたのですが、共感してくださる方がたくさんいらっしゃって、熱い気持ちも投げていただいてありがたい」と笑顔で感謝の気持ちを伝え、「映画を作ってよかったなと思います。(観客が)こんなにいろんな気持ちを抱えながら過ごしてるんだということが浮き彫りになり、あきらめないでよかったなと思います」と続けた。
プロデューサーたちの観点から将来性のある新人監督を選出する新藤兼人賞の銀賞に関根が選ばれたことに司会者が触れると、関根は「紆余曲折ありましたが、映画をずっと撮りたかったのでスタートラインに立った気持ち。趣里さんの演技を皆さんに評価していただいているのがとっても大きなことです」と心情を吐露した。その言葉を受けて趣里は「私は日々生活している中で苦しいほうが目立ってしまったり、生きづらいと感じることが多い気がしていて。そういうときにエンタテインメントに触れて、こういう世界があるんだ、こういう人がいるんだと新しいわくわくするような気持ちになることがあって」と話す。続けて「自分も誰かに寄り添っていたいなという気持ちで、お芝居をする決心をしたのでそこに立ち帰れるような作品、監督と出会えて、さらけ出すチャレンジができた。ここから改めてがんばっていかないと、と思いました」と真剣な表情で述べた。
続いて行われた観客とのQ&Aで「趣里さんが走るシーンは、ダンス経験が生かされてるなと思いました。キャスティングの際に配慮しましたか」と質問を受けた関根は、「ダンス経験がある人や体の動かし方を知ってる人は、500%演技に生きると思います」と回答。そのあと「彼女の身体性だけでできるだけ語りたいなと思ったんです。趣里さんなら全身で表現できると思いました」と説明し、趣里への信頼をあらわにした。一方、趣里は「まだ役が決まる前に監督とお会いしたとき、バレエの経験とか当時の精神状態を話して。関根さんの前だと絶対人に言えないようなことをさらけ出せた」と述懐し、「バレエをずっとやっていたかったなという気持ちは今もあるんですが、そうやって言ってくださると第2のステップに行けてよかったなと思えます」と笑顔を見せた。
その後も、複数回鑑賞したという観客たちからの熱心な質問が続く。観客の情熱に感無量な様子の趣里は、最後に「(質問の数々が)心に刻まれました。感謝の気持ちがあふれるばかりです。気を付けて帰ってください」と優しい言葉を投げかける。関根は「生きるということの何かしらのヒントになってくれたらうれしいです」とメッセージを伝え、イベントの幕を閉じた。
「生きてるだけで、愛。」は全国で公開中。
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おおとも ひさし @tekuriha
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