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歌川たいじのコミックエッセイをもとにした本作では、主人公タイジが自分を拒絶してきた母と向き合い、その愛を取り戻そうとする姿が描かれる。タイジ役の太賀は「僕自身ここまで壮絶な過去を持っているわけではないので、歌川さんの実人生を演じるには生半可な気持ちではいけないと思った」と強い思いを明かす。歌川は撮影現場に何度も足を運び、まぜごはんや菓子を差し入れしたそうで、太賀は「何度優しい言葉をかけてもらったかわからない。映画の中でお母さんへの愛を渇望していたタイジですが、今の歌川さんは人に(愛を)与え続けている。何よりも歌川さん自身がこの作品の希望だと思って演じました」と振り返った。
一方、母・光子役の吉田は、御法川から「この映画はドキュメンタリーではありません。母と息子のラブストーリーでもあるし、ある種のファンタジー映画です」と言われたことを告白し「実在の人物を再現することから一度離れ、なぜ彼女が虐待したのかということをテーマに考えました」と役作りを語る。そして御法川は「虐待問題を提起したいのではなく、人生は自分の力できれいにしていくことができるんだということを共有できたら、と祈りを込めた」と作品に込めた思いを解説した。
タイジの友人キミツ役の森崎は、太賀と10年来の友人でありながら本作で初共演を果たした。「変な意味じゃないんですけど、すげえ太賀が好きで。太賀はラジオで菅田将暉くんに嫉妬してるって言ってましたけど、僕は太賀に嫉妬してます」と俳優として尊敬の念を込める。ダンスシーンに苦戦したという太賀は「初めてのダンス練習では、フロア中に僕の心が折れる音が響いた。でもウィンが手取り足取り教えてくれて、僕に寄り添ってくれた」と感謝。すると森崎はあからさまに照れながら「いや、全然大丈夫だから」と返して笑いを起こした。
幼少期のタイジを演じた現在10歳の小山は、祖母役・木野花との撮影を回想し「木野さんとお話していると、気持ちがほっこりするというか、落ち着くというか。待ち時間には絵本を読んでいただいて、心があったかくなるような感情に包まれた」と懸命に言葉をつむぐ。それをニコニコと見守っていた太賀は「俺も、小山くんとしゃべってるとほっこりするよ」と声をかけた。
舞台挨拶の後半では、親子を演じたキャスト3人がメッセージを交換。吉田への手紙を書いてきた小山が「羊さんが僕と本気で演技してくれて、認めてくれている気がしてうれしかったです。羊さんはとても優しい人だから、とても心が苦しかったと思います。最後の日に抱きしめてくれてうれしかったです。直接言うのは恥ずかしいんですが、僕は羊さんのことが大好きです」と読み上げると、吉田は思わず涙。“触れると愛情が湧いてしまうから”という理由で、撮影中は一切小山に触れなかったという吉田は「“ちびタイジ”が、最後の日に『僕は羊さんに嫌われてると思ってました』って言ったの。この小さい体で一生懸命耐えてきたんだなと思うとありがたかったし、ごめんねという気持ちでハグをしました。素敵な言葉をいただけて、母は幸せです」と震える声で話す。
また、太賀から吉田へは「吉田羊さんとお芝居で対峙するのって、役者にとっては生半可なことじゃないんです」「ラストシーンで僕は、できる限りのことをすべて羊さんに投げた。すべて受け取ってくださって本当に感謝しています」というメッセージが。それに吉田は「太賀くんの、体の底から地響きが鳴るようなお芝居は圧倒的。私の芝居は全然太刀打ちできなくて……。改めて、太賀くんに対峙するにふさわしい俳優にならないと、と襟を正される気持ちで過ごしました」と返した。
「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は全国で上映中。
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Wで共演したウィンくんがここで将暉くんの名前を…なんか感慨深い