「詩季織々」リ・ハオリンがアニメで上海を描いた理由は「温かさを感じられるから」

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詩季織々」の総監督を務めたリ・ハオリンのトークイベントが、本日11月3日に北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われた。

新千歳空港国際アニメーション映画祭にて行われた「詩季織々」トークイベントの様子。

新千歳空港国際アニメーション映画祭にて行われた「詩季織々」トークイベントの様子。

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新海誠作品で知られるコミックス・ウェーブ・フィルムが制作した本作は、中国の3都市を舞台に描かれる青春アンソロジー。3編の物語で構成され、イシャオシンが「陽だまりの朝食」、竹内良貴が「小さなファッションショー」、 リ・ハオリンが「上海恋」でそれぞれ監督を務めた。

リ・ハオリン

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イベントにはリ・ハオリンのほか、本作のプロデュースを担当した堀雄太も参加。アニメジャーナリストの数土直志が司会を務めて進行した。大学卒業間近に新海の「秒速5センチメートル」を観て以来、新海とコミックス・ウェーブ・フィルムに憧れを抱いていたというリ・ハオリン。同社と本作を制作することが決まったときの心境を「興奮してワクワクしましたが、どういう企画や作品にすればいいか悩みました」と振り返る。堀は、企画の始動段階ではまったく違うタイプの作品だったことを明かし「社内でも話し合ったんですが、なかなか実現が難しそうであることをお伝えし、中国の生活に必須な生活の概念“衣食住行”をテーマにしたんです」と語った。

「上海恋」において、現代の上海が舞台ながらノスタルジーを感じる描き方をしたのはなぜかと問われると、リ・ハオリンは「上海という街は古いものが去って新しいものが来るという動きが顕著なんです。例えば好きな飲食店が家の近くにあったのに、1カ月後にはもうない、というくらい。少し焦りを感じるほどにこういう作品を作りたかったのは、街の変化が速くて何も残らなくなってしまうので、作品の中に昔の上海の街並みを残したかったからなんです」と述べた。

堀雄太

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アメリカでも本作を鑑賞した数土は、上映後に会場で万雷の拍手が起きたことを思い返し「ものすごく中国っぽい内容であるにもかかわらず、日本人の心もアメリカ人の心もつかむグローバルな作品」と称賛する。リ・ハオリンは「恋人同士で起きるすれ違いや家族への思いなど、グローバルに感動を得られるような題材を初めから選びました。そしてそれを、アニメという国境を越えるメディアで表現しようと考えていたんです」と語った。堀は日本国内での感想として「まず(『陽だまりの朝食』に登場する)ビーフンが食べたくなったという声が多かったですね(笑)。あと、中国の今の景色を知れたという肯定的な意見が多かったので、作ってよかったなという気持ちでいます」と述懐する。

質疑応答コーナーでは、観客から「リアルな上海をアニメで描いてみて感じた、実写との違いは?」という質問が飛ぶ。「昔の記憶は、記憶だからこそ美しいんです」と述べたリ・ハオリンは「アニメは人が描くので温度がこもります。実写では冷たい現実が映し出されるかもしれない。昔の上海を描くのであれば、温かさを感じられるアニメがいいと思いました」と解説した。

第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭は11月5日まで開催。

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数土直志 @sudotadashi

「詩季織々」リ・ハオリン監督のトークも。ナタリーさん、新千歳まで取材しているのがすごい! https://t.co/vWKWogHXOr

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