第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品された「ブラ物語」の記者会見が本日10月31日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、キャストの
鉄道運転士ヌルランが、定年退職前の最後の乗車で列車に偶然引っかかった青いブラジャーの持ち主を探すさまを描いた本作。線路沿いの家を訪ね歩く彼は、孤独を埋めようとさまざまな方法を駆使して女性たちにブラを着けさせようとする。「アンダーグラウンド」で知られるミキ・マノイロヴィッチが主演を務めた。
ヘルマーは、日本国内でも「世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方」などが劇場公開されているドイツの作家だ。映画は全編セリフを排し言葉の壁をなくすことで、世界各国の女優のキャスティングを実現。この日はスペイン出身のヴェガのほか、フランス人のフランキー・ウォラック、ブラジル人のイルメナ・チチコヴァとボリアナ・マノイロワ、ロシア人のサヨラ・ サファーロワが駆け付けた。
ファイトの長編デビュー作「ツバル」で主演を務めていたラヴァンは、「ブラ物語」でヌルランの相棒となるもう1人の運転士を演じている。ファイトとのひさしぶりの仕事については「よりひどくクレイジーになったかな? これだけ国際的な美人ぞろいの撮影現場で3カ国語を駆使しながら撮影していた。そのすごいエネルギーはどこから来るのか不思議だった」と語った。
ヴェガはヌルランの前で突然裸になり、ブラジャーを着け「私には大きすぎる」と主張する女性に扮している。彼女は実際に走る列車の近くで行われた撮影を「危険を伴うしストレスもあったけど、とても興奮した。20分おきに列車が走るので、そのタイミングを狙って撮るんです」と述懐。突然ブラジャーを着けて踊り出す子だくさんの母親を演じたウォラックは、アゼルバイジャンのバクーで行われたゲリラ撮影を振り返る。「半裸で踊るという噂が広まって人が集まってしまったんです。警察がやってきて撮影が中断することもありました。でもその緊迫感が作品のいいスパイスになっていると思います」と胸を張った。
ヌルランと危ない関係に陥る未亡人役のチチコヴァはセリフに頼らない本作の表現をたたえながら「俳優にとって顔や目、体だけで演技することはとてもスリリングで強烈、そして挑戦的。撮影はとても濃密な時間でした」とコメント。また山の上の村で羊を抱いて雑誌を読む女性を演じたサファーロワは「日本が大好きなんです」と初来日に興奮気味。ヌルランがバストを測ることになった若い花嫁役のマノイロワは「まだ映画を観てないので、私もとても楽しみにしているんです」と目を輝かせた。
「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー」の影響でセリフのない映画を撮ることにしたというファイトは「最大のチャレンジだった」と制作を振り返りながら、「観客にとっても新しい体験になると思う。ある意味、とても純粋な映画。どこの国でも字幕・翻訳が一切いらない、もっとも普遍的なアートだと考えています」と作品への自信をのぞかせた。会見では報道陣から「ブラ物語」にかけ「“ブラ”ボー」と称賛される場面も。突然の大声に驚いた様子のラヴァンだったが、その後、満面の笑みを向けていた。
「ブラ物語」は明日11月1日に東京・EX THEATER ROPPONGIでも上映。第31回東京国際映画祭は11月3日まで開催される。
第31回東京国際映画祭コンペティション部門の会見レポートはこちらから
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス「ヒストリー・レッスン」
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- 第31回東京国際映画祭(2018)公式サイト
- 「ブラ物語」 | 第31回東京国際映画祭
- 「ブラ物語」予告編
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