世界の優れた芸術家に贈られる同賞で、ドヌーヴは演劇・映像部門での受賞を果たした。これまで100本以上の映画に出演し、代表作には「シェルブールの雨傘」「昼顔」「終電車」「8人の女たち」などが並ぶ。近年でも「太陽のめざめ」「ルージュの手紙」で主演を務め、フランス映画祭2017では団長として来日している。
ジャック・ドゥミの作品で映画の魅力に目覚め、さまざまな素晴らしい監督との出会いを重視し、新しい映画の見方を学んでいったというドヌーヴ。作品選びの基準としては「本質的に自分を驚かせること」「好奇心」を挙げた。「万引き家族」で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和の長編第15作となる日仏合作映画「La Verite(仮・仏題)」で主演を務めることも決まっている。
彼女は挨拶の冒頭、メモを用意していないことに触れ「何を話していいのかわかりません。女優ですから、いつも記者に質問される立場なので」とほほえみ、とぼけてみせる。「私自身は演技をする人間。何かを作り出す存在ではないのです。作品の目的からすると一部分に過ぎない」と謙遜しながら、受賞への感謝を述べた。
現在フランスでは「La Verite」の撮影が行われているが、今回の来日のため休みをもらったそう。「私は幸運です。素晴らしい監督である是枝と仕事ができるのですから」とコメント。“
会見の終了後、ドヌーヴは懇談会で記者たちの質問に答えた。まず「La Verite」への出演のきっかけを説明。数年前にフランスの彼女の事務所に是枝サイドから連絡があり、是枝とランチをともにしたという。その後、カンヌ国際映画祭で再会、またフランス映画祭2017で来日時に東京で会ったのち、仏パリで出演の依頼を受けた。「シナリオもよくできていたし、とてもうれしかった。出演まではとてもシンプルに話が進んでいきました」とドヌーヴ。
そして「映画は10日ほど前にクランクインしました。今は撮影を中断しており、私が週末にパリへ戻ってから撮影を再開する予定です。彼はとても優しく、穏やかで、実にユーモアがある方。監督作も拝見していて、特に『歩いても 歩いても』『誰も知らない』が大好きです。残念ながら、まだ『万引き家族』は観ていません。来週、私たちのために上映会をしてくださることになっているんです」と述べる。
ドヌーヴはまた「La Verite」の撮影現場を「特別な雰囲気」と語り出す。「是枝監督はフランス語も英語もお話しにならないので、彼と何年も仕事をしている通訳が彼の言葉を系統立てて説明してくれる。だから現場では、全員が大声でしゃべらないようになりました。監督の言葉をじっと聞いていると、通訳の方が飛んできて訳してくれる。そうした状況なので、どこかフィルターのかかったような柔らかな雰囲気。普段とは異なりますが、とても気持ちのいい撮影現場です。また撮影はデジタルではなくフィルムで行っています」と続けた。
そのほかこれまでに仕事をした思い出深い監督たちの名前として、フランソワ・トリュフォー、ジャック・ドゥミ、ジャン=ポール・ラプノー、アンドレ・テシネの名を挙げる。「女優として名前を出さずにはいられない」と語るのは、彼女が主演を務めた「反撥」の監督ロマン・ポランスキーだ。「彼の演技指導はとても優れていた。私が喜びと言うにはおこがましいですが、多大な興味を持って演出を受けることができ、また観察していました。『反撥』に出演できたことを今でもうれしく思っています」と語った。
またドヌーヴいわく、お気に入りのアジアの作家は、日本の成瀬巳喜男、韓国のホン・サンス、中国のジャ・ジャンクーとのこと。さらに村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を韓国のイ・チャンドンが実写化した作品で、2018年のカンヌ国際映画祭で上映された「バーニング 劇場版」の名前も飛び出した。
「La Verite」は2019年に公開予定。
※「La Verite」の「e」2つはアクサンテギュ付きが正式表記
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