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この企画は「八甲田山」の製作と脚本を担当し、7月19日に100歳で死去した
4Kデジタルリマスター版での今回の上映について、木村は「1コマずつきれいにしてよみがえった新しい『八甲田山』です」と喜び、「封切られたときは加山雄三さんがどこに出てたんだかわからなかったなんて声もありましたが、俳優さん1人ひとりの顔がわかるようにしました」と冗談交じりに説明する。劇場で通して観たのは公開時と本日で2度目だという北大路は「すごい作品に出させていただいたということを改めて痛切に感じます」と感慨を述べ、「あのカットをすべて撮っている木村大作さんという方が神様みたいに見えますね」と木村を称賛した。
当時の撮影の様子について、木村は「僕は赤いカッパ、帽子、ズボンを身に着けて、なおかつ戦国武将みたいな赤い旗を立てていました。遠くから大ロングの望遠で撮っていたからです。それで怒鳴るもんだから“赤鬼”なんて呼ばれてました」と述懐。北大路は「鬼の大作さんがいなければ、我々は1歩も動けなかったと思いますよ」と笑いながら続け、「撮影現場では出番じゃないときは寒さの中で待つわけです。あるとき『まだですかー?』なんて遠くにいる大作さんに聞いたら、『高倉大尉は6時間待ったんだ!』って返されて。何も言えなくなっちゃいましたね(笑)」とエピソードを披露した。
続けて木村も撮影時に起きた出来事として「雪中行軍の中には顔は映ってないけど前田吟、下條アトム、緒形拳などすごい俳優さんがいっぱいいるんです。あるとき本番中に誰かが『俺たちは牛や馬じゃない!』って叫んだんです。でもそれがオッケーになっちゃうんだから」と明かし、会場の笑いを誘う。また、劇中で身に着けていた雑嚢を持参した北大路は「時々これを見ると役者人生の原点に戻るというか。分身のようなものですね」と思いを語った。
橋本との思い出を尋ねられると、北大路は「この作品で先生とは出会ったんですが、僕にとっては恐れ多い存在でした。あるとき呼び出されて『あのブナを見てごらん。寒さに耐えて偉いね、立派だね』っておっしゃって。僕はそれを『あっ説教されているな』と思いながらじっと聞いていたんですが(笑)」と回想する。同じ質問に木村は「お礼を言いたいのは、当時35歳の僕をカメラマンに選んでくれたこと。僕の『劔岳』という作品も『八甲田山』がなければ生まれてませんから」と答えた。
最後に、木村の最新作「散り椿」が第42回モントリオール世界映画祭にて審査員特別グランプリを受賞したことが司会者から告げられると、木村は「最初に聞いたときは『グランプリじゃねーの』と思ったんですが(笑)。銀メダルみたいなものと言われたので、次回は金メダルを獲れるようにがんばろうと思います」と意気込みを述べ、イベントを締めくくった。なお「散り椿」は9月28日より全国でロードショーとなる。
「八甲田山」4Kデジタルリマスター版は、12月に開局される日本映画+時代劇4Kで12月2日に放送。2Kダウンコンバートは日本映画専門チャンネルにて同時放送される。
※記事初出時より情報を追加しました。
「八甲田山」4Kデジタルリマスター版
日本映画+時代劇4K 2018年12月2日(日)21:00~
※日本映画専門チャンネルでは2Kダウンコンバートにて同時放送
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木村大作の映画作品
リンク
- 「散り椿」公式サイト
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【映画】9月4日に、東京都内で行われた4Kデジタルリマスター版の上映会にて >「八甲田山」上映会、北大路欣也と木村大作が高倉健や橋本忍とのエピソード明かす
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