スタジオジブリのプロデューサー・
この取材は、鈴木による初のノンフィクション小説「南の国のカンヤダ」の刊行を記念したもの。「南の国のカンヤダ」は女性セブンで2017年3月から2018年1月まで連載していた小説に加筆修正したもので、鈴木が都内のマンションのエレベーターで偶然出会った、タイ人のシングルマザー・カンヤダを巡る物語がつづられている。
トレードマークとなっている作務衣姿で登場した鈴木は、「休みの日にすみません。僕も本当は休みたかった」と笑顔を見せ、早速報道陣を和ませる。鈴木は「僕は若い男女をくっつけるのが好きで、これまでかなりの実績を誇ってるんですよ」と明かし、「その趣味がついに外国にまで及んで、カンヤダという女性をある男性とくっつけようとした。本当の話だから差し障りがある部分もあるから、本物じゃないことも入れてあるんです。ノンフィクションでありノベルでもあるというのはそういう意味です」と著書について説明。留学生として1年間日本に滞在していたときに27歳のカンヤダと出会った鈴木は、のちに国へ帰ったカンヤダからタイに来るように誘われる。鈴木は「カンヤダの故郷はバンコクから車で6時間で、カンボジアの国境の近く。僕はそこでタイムスリップしたんですよ、僕らが子供だった時代の日本を見ました」と振り返る。
「カンヤダに本は送ったけど読んだら怒るんじゃないかとヒヤヒヤ、ドキドキしてる」と述べる鈴木は、「書いてみたいものを書いたのは初めて。友人の女性から感想文が送られてきて、長い文章だったが一言で言うと『カンヤダと自分を重ねて泣きました』と言われてうれしかったですね」と話した。カンヤダについて「まったく媚を売らない。愛想笑いもしないし、キリッとしている。自分のやりたいことはテコでも変えない。傍から見るとわがままに見えるんですよ」と語り、「僕が付き合ってきた宮崎駿に似てるんですよね。言うことなすことそっくりで、2人の共通点はものすごい多い。僕、そういう人好きなんです、興味があるんですね。いろんな人が僕に寄ってくるんですけどだいたいタイプが似てるんですよ」と笑う。
そんな鈴木が「恵比寿に事務所があるんですが、200世帯くらいあるマンションだけどエレベーターが1つしかない。そのエレベーターで知り合った人は20人や30人じゃ足りない。男女問わずご飯も食べに行くし、そのつながりで仕事になった人もいる」と明かすと記者たちから驚きの声が上がる。鈴木は「おふくろが人と出会うのが好きだったからその血を引いてると思う」と続けた。
「映画を作るのと本を書くのはどっちが好きですか」と質問された鈴木は「集団でなにかやるのが大好きなので、やっぱり映画は面白いですね」と解答。さらに、「『仕事しないでおまえ何やってた』って言われると困るから、会社のみんなには『この本の存在を宮崎駿に知られないように』と言っている」と打ち明け、会場を沸かせる。最後に宮崎が制作している新作長編の進捗について尋ねられると「丸2年やってます。あと3年か4年か、それくらいのペースですね。今までできなかったことをやってます。本当に面白いんで期待してください」とコメントした。
関連する特集・インタビュー
紫の豚 @purplepig01
【イベントレポート】
鈴木敏夫が初小説の発売会見、
主人公と宮崎駿は「言うことなすことそっくり」
https://t.co/Dt0vaoOEXA #南の国のカンヤダ