「1987」監督チャン・ジュナンが阪本順治とトーク、パク・クネ政権下の制作語る

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本日7月30日、「1987、ある闘いの真実」のトークイベントが東京・神楽座にて行われ、監督のチャン・ジュナンとゲストの阪本順治が登壇した。

「1987、ある闘いの真実」トークイベントの様子。左からチャン・ジュナン、阪本順治。

「1987、ある闘いの真実」トークイベントの様子。左からチャン・ジュナン、阪本順治。

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「1987、ある闘いの真実」ポスタービジュアル

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1987年の軍事政権下の韓国を舞台に、警察による男子大学生パク・ジョンチョルの拷問致死事件を巡る実話を描いた本作。事件をきっかけに韓国全土で民主化の気運が高まっていくさまを追う。チャン・ジュナンは、初稿の脚本を読んだ際のことを「韓国の現代史にとって非常に重要な足跡を残したこの事件を、なぜ誰も語らないのかもどかしい気持ちでした。一方で、次の世代にこの物語を伝えるべきだとも感じました。そういった感情が押し寄せてきて『やらねばならない』と決心をするに至ったんです」と振り返る。

阪本順治

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阪本は本作について「素晴らしいなと思ったのは、大統領から名もなき学生まで、すべての視線が網羅されていること。また、過去の時代を告発するために作ったのではなく、善悪を単純化しなかったこと。観客の皆さんも泣いたと思うんですが、僕らの時代にも返って来るような涙だったと思います」と絶賛。それに対してチャン・ジュナンが「核心を突いた深いコメントでした。鋭く分析してくださって、同業者として本当にありがたいと思います」と感謝を述べると、阪本は「カムサハムニダ」と笑顔を見せた。

チャン・ジュナン

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パク・クネ政権下で行われた初期の制作を「当時は弾圧が激しい時代だったので、シナリオ作りは秘密裏に行われたんです」と明かしたチャン・ジュナン。「しかし、驚くことに多くのキャストが興味を持ってくれました。この映画には韓国のアベンジャーズ級の俳優さんたちが参加していますが、私の力によるものではなく、物語の力によって動かすことができたのではないかと思っています」と述懐し、「本作で描かれている奇跡的な物語と同じように、制作の過程でも奇跡が起こって作られたんです」と語った。

左からチャン・ジュナン、阪本順治。

左からチャン・ジュナン、阪本順治。[拡大]

また、1987年当時は高校生だったというチャン・ジュナンは「『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』にも登場する光州事件の記録映像を高校3年生のときに観て、いかなるホラー映画よりも怖いと衝撃を受けました。おそらくこのときに私の中で『1987』で伝えたかったことに通じる何かが芽生えたのではないかと思います」と回想。阪本は「その記録映像は当時日本でも流れたことを覚えています」とうなずくと、「韓国の過去の例が、現代の日本にもじわじわとやって来ているのかなとも感じます」と述べる。最後にチャン・ジュナンは「この映画では、1987年という時代を生き真実を追求していった人々が、いかに美しかったのかを描きたいと思いました。そして、今の韓国社会にもう一度その時代を振り返ってほしいと願ったんです」と本作に込めた思いを語り、イベントを締めくくった。

「1987、ある闘いの真実」は、9月8日より東京・シネマート新宿ほか全国で順次ロードショー。なお、阪本の新作「半世界」は2019年に全国で公開される。

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