このイベントは、6月16日より東京のシアター・イメージフォーラムで開催される特集上映「深田晃司映画まつり2018」のプレイベントとして開催されたもの。「シンパシーを感じる」という理由で深田から声をかけられた面々が集い、リラックスした雰囲気の中トークを繰り広げた。
まずは自己紹介代わりに、それぞれ自分が手がけた近作の予告映像を上映。真利子が全話において監督・脚本を担当する「宮本から君へ」、横浜が監督として参加した「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」のトレイラーを流すと、深田と濱口は「(映画と)撮り方変えるの?」「毎話引きを作らなきゃいけないの?」とドラマの現場に興味津々で質問を投げかける。横浜は「ドラマって家で何かしながら観る人が多いと思う。だからどうせなら好きなことやっちゃえ!って」と答え、真利子も「自分があまりドラマを観ないのもあってもともとよくわかっていない。だから逆に気楽にやれる部分がある」と返答。また真利子は「全12話分で1本の(作品を作っている)感覚」と述べ、放送中の「宮本から君へ」に関しては「第12話で好きなことを全部やったから皆さんの反応が楽しみ」と期待を口にした。
続いて、進行役の深田から「なぜ映画の世界に入ったんですか?」とトークテーマが設けられる。映画美学校出身の深田と横浜、東京藝術大学大学院の映像研究科に2期生として入学した濱口、イメージフォーラム映像研究所で学んだのち濱口の1期下として同大学院に入った真利子。深田が「10代前半の頃からケーブルテレビや家にあった大量のVHSで毎日映画を観ていた」と映画の鑑賞歴をたどる一方、横浜は「アイドルやトレンディドラマが大好きで、友人と『想い出にかわるまで』の名シーンを再現して遊んだりしていた」とエンタテインメントに夢中だった中高生時代を回想するなど、それぞれ原点から今に至るまでを振り返っていく。濱口が「真利子さんはすでにいろいろ撮っていたから3期生として入ってくると知ったときはみんなざわざわしていた」と当時の様子を伝えると、真利子が「(濱口の卒業制作の)『PASSION』がすごすぎて。そのあとに続かなきゃと思いながらも、絶対まねできない。だから濱口さんに『PASSION』をどう撮ったのか聞いて、それ以外のやり方で撮ったのが『イエローキッド』でした」と明かす一幕も。
さらに4人は映画以外のお気に入り作品を紹介。楳図かずおのギャグマンガ「まことちゃん」を持参してきた横浜は「25歳ぐらいで初めて読んだ。『大人にならなきゃ』と思い始めた頃だったけど『そうじゃない、このままでいいんだ』と衝撃を食らいました」と同作から受けた影響を語る。濱口は魔夜峰央のギャグマンガ「パタリロ!」を紹介しながら「人生で『パタリロ!』以上に笑ったことはない」と断言。真利子は佐内正史の写真集「銀河」をオススメし、深田は昔から読み続けているという秋月りすのマンガ「OL進化論」や、いしいひさいちのマンガ「バイトくん」の面白さを熱弁した。
また横浜が「1つのカットを撮るとき、役者やカメラ以外に自分は何を見てるんだろう?と思った。もっと何か、映画以外のものの見方を学びたい」と現場で感じていることを吐露する場面や、本年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に新作「寝ても覚めても」が出品された濱口が、各国のレビューを読んだことで「人それぞれ美点や欠点の感じ方があるんだなとわかりました」と語るなどトークテーマは多岐にわたった。
最後は観客から「気になる次世代の監督は?」という質問が。深田は「戻る場所はもうない」の笹井歳春、濱口は三宅唱や「ハッピーアワー」で共同脚本を担当した野原位、真利子は「枝葉のこと」の二ノ宮隆太郎、横浜は「わたしたちの家」の清原惟の名前を挙げていったが、横浜の「若い人もライバルだと思ってるので!」という言葉に登壇者一同大きくうなずいた。
「深田晃司映画まつり2018」は6月16日から29日まで開催。なお深田の新作「海を駆ける」は東京・テアトル新宿ほか全国で上映中。
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真利子監督「(濱口監督の)『PASSION』をどう撮ったのか聞いて、それ以外のやり方で撮ったのが『イエローキッド』でした」
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