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第71回カンヌ国際映画祭で最優秀賞にあたるパルムドールを受賞した本作は、犯罪でしかつながれなかったある一家の“許されない絆”を描く人間ドラマ。5月末の受賞から多くの祝福を受けてきた是枝は「本当はもう少し小さく届けていくつもりでスタートした作品でした。それが結果的にはこんなに広く遠くまで。スタッフとキャストがとてもいい形でこの作品を支えてくれたおかげだと思っています」と改めて今の思いを口にした。
“家族”を演じた登壇者たちは、カンヌ映画祭以来の集合にうれしそうな様子。リリーは「是枝さんのような奥ゆかしい人は賞をもらうことに照れがあると思うけど、上映館も増えてたくさんの人に観てもらう機会が増えたのはいいことですよね」と喜び、「祥太がこんなきれいな格好してるのは見たくないですよね」と観客に問いかける。城が照れながら「撮影では魚釣りも海のシーンも楽しかったし、あとみかんを持って飛ぶところも、すごく面白かったです」と撮影の思い出を話すと、リリーは「完全にレジャー感覚で撮影していたようですね(笑)」と楽しげに笑った。
安藤は独特の表現で是枝組を語り、登壇者たちを驚かせる。「この家族と過ごした時間は短くて穏やかなのに、ところどころでとんでもない興奮と爆発が起こる。感覚がおかしくなりそうでした。監督も皆さんもものすごい方なのに、納豆ご飯みたいなんです!」と熱弁する安藤に、一同は「全然わからない!」と困惑。それでも安藤は「キャビアを食べているような感じなのに、いつも納豆ご飯のような。監督は納豆ご飯を食べるお茶碗のように心地よく受け止めてくださる」と続け、「公開を迎えてこの家族と一区切り付くと思うと、さっきから寂しくて……」と声を震わせる。
松岡と池松は、劇中で思いを通わせる役を演じた。松岡は「なんで今日ムズムズするんだろうって思ってましたが……ようやく家族に“彼氏”を紹介できる!」と声を弾ませ、共演者たちに改めて池松を紹介してみせる。池松は「試写のあと、是枝さんに『カンヌ獲っちゃってください!』とつい言ってしまって。でも本当にとんでもないお土産を持ってきてくださった。まさか平成の終わりにこんなことが……平成生まれとしてはものすごくうれしかった」と熱く語り、「(劇中では)全然セリフなかったので、今日しゃべりすぎてますね(笑)」と我に返った。
樹木は口を開くや否や「あんなね、寒くて、汚い中で、(撮影で)正月もないし。あんな貧しいのが、ひょいっと(賞を)獲れるわけじゃないのよ!」と文句を並べつつもパルムドール受賞の偉大さを語る。さらに「褒められてるんですよね?」と苦笑いする是枝を無視して「夏のシーンなのに冬に撮るって言うし。ももひきがスカートからのぞくと、もう1回!って。誰も見ないよって言ってるのに」と不満を爆発させた。また樹木は土砂降りの中子供たちが駆けて来るシーンをお気に入りに挙げ、「あれは偶然雨が降ってきたんですってよ。ホースじゃないの。そこからまた脚本を考えたって。なりゆきだから全然お金かかってないのよ!」と言い放ち、再び是枝を苦笑させた。
最後に佐々木から是枝に手作りパルムドールのプレゼントが。授賞式後、起きてすぐに紙や段ボールなどで作ったという像を受け取り、是枝は「本物の像はプロデューサーにあげて僕はこっちをいただきます」とうれしそうに掲げる。そして是枝は本作を、安藤の言葉を借りて「納豆ご飯のような映画です!」と表現。「観るたびに味わい方の変わる映画になったのではないでしょうか。子供たちの目線でも、大人の目線でも。長く上映を続けていけたらと思っているので、また劇場に足を運んでもらえたらうれしいです」と観客に伝えた。
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