「みちていく」竹内里紗の特集が明日から、新作「みつこと宇宙こぶ」など6本

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みちていく」で知られる竹内里紗の特集が明日5月29日から6月1日まで、東京・テアトル新宿で開催中の「田辺・弁慶映画祭セレクション2018」内で実施される。山戸結希らの応援コメントが到着した。

「竹内里紗監督作品一挙上映 4DAYS」チラシビジュアル

「竹内里紗監督作品一挙上映 4DAYS」チラシビジュアル

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「みつこと宇宙こぶ」 (c)東京藝術大学大学院映像研究科

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「みちていく」 (c)みちていく

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「ハズレときどき恋」 (c)AKS / UNIVERSAL MUSIC LLC

「ハズレときどき恋」 (c)AKS / UNIVERSAL MUSIC LLC[拡大]

「田辺・弁慶映画祭セレクション」は若手作家の登竜門の1つに数えられる田辺・弁慶映画祭の受賞作を上映するもの。竹内が東京藝術大学大学院の映像研究科映画専攻の修了作品として制作した「みつこと宇宙こぶ」は、第11回田辺・弁慶映画祭女優賞を獲得した。特集では同作に加え、第15回TAMA NEW WAVEでグランプリを獲得した「みちていく」、第30回東京国際映画祭にて上映されたデートレイプを題材とする「渦」、坂本愛玲菜(HKT48)を主演に「東映 presents HKT48×48人の映画監督たち」の1本として制作された「ハズレときどき恋」など6本が上映される。

竹内も参加するオムニバス映画「21世紀の女の子」で企画とプロデュースを担当する山戸は「竹内里紗監督の描き出す光の輪郭が、日本映画界における最も大きな福音として届けられる日は、まったく遠い日のことではないでしょう。彼女は、他の追随を許さぬ、最良の映画作家であることを、他ならぬ自分自身の力を以て、映画館の暗闇に証明します」とコメントを寄せた。

竹内里紗

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そのほか塩田明彦、「SYNCHRONIZER」の脚本をともに手がけた万田邦敏、「わたしたちの家」で知られ竹内とは藝大の同期である清原惟、「みちていく」のキャストであり劇団・贅沢貧乏を主宰する山田由梨玉田企画玉田真也、編集者・ライターの門間雄介のコメントも到着。下記に掲載している。

特集は連日20時50分からスタート。スタッフ・キャストによる舞台挨拶や塩田、清原、山田らが登壇するゲストトークも実施される。なお「みつこと宇宙こぶ」は6月15日に大阪のシネ・リーブル梅田でも上映予定。

田辺・弁慶映画祭セレクション2018「竹内里紗監督作品一挙上映 4DAYS」

2018年5月29日(火)~6月1日(金)東京都 テアトル新宿
<上映作品>
「みつこと宇宙こぶ」
「みちていく」
「感光以前」
「FOLLOW」
「渦」
「ハズレときどき恋」
料金:一般、大学・専門学生 1300円

山戸結希 コメント

「この世に、竹内里紗に撮れない映画は存在するのだろうか?」
どんなテーマで、どんなモチーフを撮ったとしても、
竹内監督が撮られる限り、圧倒的な映画としてこの世界に生まれます。
TAMA NEW WAVEグランプリ「みちてゆく」はもちろん、
学生時代からの習作も含めてスクリーンにかけられるこの贅沢な特集上映は、
その証左となるでしょう。
一作品を観るごとに、
その思考の過程を決して見逃させぬ信頼を、
暗闇にて眼を光らせる私たちに植え付ける、共犯関係を誘うような作品群だと感じられます。

竹内里紗さんの映画を観ると、
どうして、「映画」の芯を揺さぶられている感覚が逃れ難く沸くのでしょうか。
各々の中に元来眠っていた「映画」と、竹内監督作品の照らし出す「映画」とが、
この今に、あまりに危うい化学反応を起こしながら、
「自分にとっての映画とは何か?」という問いがはっきりと呼び起こされます。
彼女の作品に出会って、わかったことがあります。
素晴らしい才能は、周りの人間にとっての自身の資質を照らすのだ。
そんなことを、竹内監督と出会ってから、ずっと重く感じています。

自身と他者との境界線を、
あくなき映画的運動の追求によって、
あるいは原風景から引き上げられるモノローグによって、
そして観客との信頼関係によって、
描き出すことを諦めない挌闘の時間があります。
その思索の先にだけ、スクリーンにおいて、彼女の映画はやがて、
私たちにとっての他者そのものとして現れ、
その鋭利に触れて初めて、私たちの頬に伝うものから、私自身の輪郭を知ります。
私たちは、私自身が何者であるかの切っ先を、
竹内監督作品から受け取ることができるのです。

彼女の作品に触れると、誰もが口にしたくなる、
「このように純度の高い演出が、どのように行われているのだろうか?」
という問いに、未だ竹内組の現場を見たことのない私は、
現在、ひとつの仮説を抱いています。
それは、竹内監督の凜とした声が、「映画」を覚醒させる働きを持っているのではないかというものです。
演者にとって、制作スタッフにとって、それ以上の福音はない形で、
彼女の声が世界に響くこと。
「用意、はい」と彼女がその声を差し出すと、変容する世界がある。
1カット1カットの切迫感は、切実な生の存在証明に他ならないことの、
歓びと、才能を持って生まれ、生きることの残酷さを教えられながら。
そのようにして彩られ、結び合わされるひとつの世界を、
私たちは映画と呼ぶのではないでしょうか。

竹内里紗監督の描き出す光の輪郭が、日本映画界における最も大きな福音として届けられる日は、まったく遠い日のことではないでしょう。
彼女は、他の追随を許さぬ、最良の映画作家であることを、他ならぬ自分自身の力を以て、映画館の暗闇に証明します。
映画の聖典から、この地球に偶然産み落とされてしまったかのような佇まいのままで。

塩田明彦 コメント

竹内里紗の映画はいつだって肉体が戦場化している。誰かが世界と相容れないのは自分自身の肉体と相容れないから。ところがその戦場と化した肉体にふと、世界との調和が訪れたとき、映画のなかで月がささやき、風が吹き抜ける。あるいは大地に根を張る大樹が彼らを優しく包み込む。光や音がまさに彼らの肌に触れてくるかのように、画面のなかに立ち現れてくる。これぞ竹内映画の醍醐味であり、同業者としての私は、なによりそこに深く共感=嫉妬するのだ。

万田邦敏 コメント

「みちていく」にしても「みつこと宇宙こぶ」にしても、まだ20代半ばに満たない子が、よくこれだけのものを作れたなと感心する。これだけのものというのは、大人の鑑賞に耐えるもの、という意味だ。ここで言う大人とは、他人の存在を認め、他人との関わりを躊躇わず、場合によっては自らが変化することを怖れずに他人との闘いを辞さない覚悟のことだが、映画の面白さは、その覚悟から逃げない場所にしかないことに気付き、なおかつその場所に踏み込んでいって映画を作るには、それ相応の年齢が普通は必要なのだ(私自身もまったくそうだった)。あんまり早くその場所に来てしまった竹内里紗は、いま後戻りをして、通過した各駅にあらためて停車し直しているのかも知れない。それは一見迷いのようにも映るし、後退のようにも見えてハラハラさせるが、迷いのない若さ、後退のない実践などないのだから、それでいいのだ。

清原惟 コメント

竹内里紗の眼光は鋭い
その目はどこまでも見渡して誰も彼も見逃さない目だけれど
わたしたちを突き刺したりするのではなく
暖かい光のサーチライトが夜空をぴかぴかに照らすみたいに
暗がりでひとり泣いている誰かのことを
必ず見つけだす
そんな優しい鋭い目なのである

山田由梨 コメント

里紗の映画の中の主人公は、世界のことを知ってしまいそう、でも知りたくないっていう狭間で揺れてて、そこから見える世界はすっごい美しい。世界を知っていくことは、大人になっていくことかもしれないけど、美しかったはずの世界はどんどん平凡で普通になっていく。「そうやって簡単に退屈になっていっていいの?」って言われてる気がして、グッてなる映画です。観てください。

玉田真也 コメント

映画を始めたての僕は、「こんな風に会話を撮れば面白いのか!」とか「ちょっとしたシーンでも演出と撮影でこんなに緊張感を出せるのか!」とか、そんな素人くさい感動を感じました。この人をライバルだと思ってやっていけば、まあ間違いなかろうと思ったのです。なので、今彼女のことはライバルだと思って見ていますし、今回の上映も、そういうつもりで観に行きます。生意気を言ってすみません。でも楽しみでなりません。

門間雄介 コメント

ここまでの監督作品をあらためて観て、
その確かな技量と果てしない才能に息をのむばかりだ。
そう遠くない将来、彼女が日本映画の宙空に描き出すのは、
どれほど鮮やかな光跡だろう?

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おおとも ひさし @tekuriha

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