ロックもヒップホップも大嫌い!レコード収集家ジョー・バザードを追う記録映画が公開

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2003年にオーストラリア映画批評家協会賞の最優秀ドキュメンタリー賞を獲得した「Desperate Man Blues」が、「さすらいのレコード・コレクター~10セントの宝物」の邦題で4月21日に公開される。

「さすらいのレコード・コレクター~10セントの宝物」ポスタービジュアル

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「さすらいのレコード・コレクター~10セントの宝物」

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本作は、アメリカのレコードコレクター、ジョー・バザードに密着した記録映画。ロックンロールやヒップホップに嫌悪感を抱き、ブルース、カントリー、ブルーグラスなど“本物のアメリカンミュージック”を愛するバザードのレコード探しの日々が切り取られている。映画では、バザードの膨大なレコードコレクションからロバート・ジョンソン、サン・ハウスなどの楽曲を聴くことができる。

監督を務めたのは、1980年代、ロンドンのパンクシーンに絶大な影響を与えたデザイン会社ロッキング・ロシアンの主宰者であるエドワード・ギラン。彼は本作の主題を「現代の人には今や手が届かないといってもいいほど失われてしまった文化に対する執念」と説明している。

「さすらいのレコード・コレクター~10セントの宝物」は、東京・新宿K's cinemaほか全国で順次ロードショー。

エドワード・ギラン コメント

ジョー・バザードのような人が強く観客を惹き付けるのは、彼には人生の宿命と使命があるというまさにその事実があるからです。本作のストーリーは、異常なほどの情熱に突き動かされて、人生のすべてを終わりなき発掘作業に捧げる1人の男を描いたもので、観る人の心を捉えて離しません。私はジョー、そしてこの発掘作業に愛着を持っています。
現代の人には今や手が届かないといってもいいほど失われてしまった文化に対する執念がこの作品の主題です。これは、テリー・ツワイゴフ監督の映画「ゴーストワールド」や、オーストラリア現代美術館で開催された「アザー・ピクチャーズ展」と同じコンセプトです。20世紀のサウンドとイメージがどれほど脆いものかということに、私たちは21世紀に入ってから気付きました。レコードはゴミと一緒にくずとして捨てられ、制作費をケチる放送局によってテレビ番組は上書き録画されてしまい、家族の写真アルバムはガラクタとして放り出されました。これらは人々との日常生活が歴史上初めて映像や音として記録されたものであるというのに……。
この分断されている世界において、ジョーのシンプルなビジョンと不変の献身的な姿勢、そして忘却のふちから彼が救い出した純粋な音楽に対する信念、それらに完全に魅了されてしまいました。彼の価値観と本気さは歴然で、偽りないものだったからです。ジョー・バザードはいつだってはみ出し者でした。若い頃も我が道を歩んでいました。エルヴィスを聴いてヒップだと思っていた同時代の仲間たちが聴いていたような音楽には目もくれず、もっと深い感動を与えてくれる違った音楽を聴いていたのです。
ジョーは熱を込めて自分のストーリーを語ってくれます。そんな彼と彼の探索作業に強い親愛の情を持たずにはいられません。ジョーこそが必死になっている男(Desperate Man)なのです。それは情熱という意味で、マニアックな人という意味で、発見し難い録音を探し出す必要性という意味で、そしてボブ・ディランやヴァン・モリソンといった大御所からルシンダ・ウィリアムス、ベン・ハーパー、ベックらのアーティストに至るまで、多くの現代のミュージシャンにインスピレーションを与え続けているこの音楽をみんなに聴いてもらって、正当に評価してもらうことについてという意味で……。
私たちはジョーの個人的なストーリーを知ることになります。そのストーリーは、彼がアメリカの真のサウンドだと思っている音楽を救い出すという使命と深くつながっています。商業的利益のために作られたディスクに収録された音楽は、“製品”になる前に録音されていたアーティストの純粋さを損なってしまいました。
ジョーは執着心の代償を支払いました。人間関係は損なわれ、彼の飽くなき追求の中でモラルが守られなかったこともよくあります。自身も有名なコレクター兼DJであるディック・スポッツウッドは「収集本能が社会正義やモラルなどほかのすべての本能より優先しているジョーが支払った代償は、私が支払えると思うものを大きく上回る」と語ります。「さすらいのレコード・コレクター」で私が目指したのは、エディ・ディーンの言葉を借りれば「アメリカが生み出したもっとも重要な産物だと多くの人が見なしているもの」、そしてアメリカ音楽の源泉に対する関心の高まり、忘れ去られたこの音楽を救い出した一個人、それらについて観客に関心を持ってもらうことです。

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(c)Cube Media 2003

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