「
プロ棋士・瀬川の自伝的小説をもとにした本作では、幼い頃から将棋一筋で生きてきた主人公・晶司が、年齢制限により一度は夢を断たれながらも、周囲の支えにより再びプロ棋士への道に挑むさまが描かれる。本日は将棋会館の向かいに位置し、“将棋の神様”が祭られる鳩森八幡神社にて作品の門出が祝われた。
祈祷を終えると、晶司を演じた松田は「素晴らしい映画になりました。映画の神様が降りたというか。将棋の神様にヒット祈願ができてよかったです」と口にする。晶司の親友であり最大のライバル・鈴木悠野役の野田も「ひさしぶりに瀬川さんや監督にお会いできてうれしいです」とにこやかに述べた。
豊田作品において松田が単独主演を務めたのは、「青い春」以来およそ16年ぶり。松田は「楽しみでした。『青い春』からこれだけ主演ができなかったから、次はいつになるかわからない。そういう意味でも気合いが入りました(笑)」と笑顔を見せるも、撮影を振り返ると「けっこうキツかった」と本音が。その理由を「瀬川さんの半生とつながるものを、自分の中でどこまで出したらいいのか。いろいろさらけ出して、自分を隠すことなくやらせていただいた。それはそれで大変でした」と説明し、「そんな映画を豊田さんとまた一緒にできてよかった」と語る。豊田は「いつも松田龍平主演でどういう映画を作れるか考えていた。いろいろ企画があったけど、なかなか実現しなくて」と明かし、「面白かったね」と松田に笑顔を向けた。
松田と野田はプライベートで交流があるそうで、「(野田は)やっぱり才能があふれ出ている」と仰々しく評価する松田に対し、野田が「いい加減にしろよ(笑)」とツッコむやり取りも。一緒に演技した感想を問われると、松田も野田もそろって「恥ずかしかった」とコメント。松田が「(本業が)役者ではないから出せる空気感があった」と野田の演技を称賛すると、豊田も「芝居がナチュラルだった。いろんな役者さんがいっぱい出ているけど、1人タイプが違って新鮮で。僕は満足しました」と褒めたたえた。野田は恐縮しながら「(劇中で描かれる)半生にはいろんなフェーズがあって、どうしても自分とシンクロしてしまう苦しいときがあったりする。その中でもがいている彼の姿を近くで見れてうれしかったです」と撮影現場での松田の姿を尊敬を込めて振り返る。
また将棋監修として撮影に参加した瀬川が「皆さん本当にのみ込みがよくて」と述べると、野田は「とにかく現場での瀬川さんが楽しそうで。将棋って基本的に孤独な戦い。ミュージシャンもわりと1人の作業になるので、そこが似ていますねとお話ししました」と回想。瀬川も「映画はみんなで作り上げていくチームプレイなところが新鮮で楽しかったですね」と同調した。
豊田の監督作10本目にあたる本作。自身も17歳まで奨励会に在籍してプロを目指していた豊田は「僕は挫折して、将棋を憎んじゃった人間。でも原作を読んだら憎しみが消えて、そういう生き方もあるのかと感動しました」と映画化に踏み切った理由に触れる。そして「個人的には同じ青春時代を過ごし、奨励会を挫折したやつに観てほしい。夢破れた人たちにこの作品を届けたいです」と語った。
最後に松田は「将棋が大好きな方にとっては、より熱くさせる映画。将棋を知らない方がどこまで楽しめる映画になるか考えていたけど、完成作を観て間違いないと思いました。棋士たちの熱い思いを感じていただきたい」、野田は「フィクションじゃありえない、浮世離れしているようなストーリー。でもそれがまぎれもない現実。どんな人が観ても間違いなく響くと思います」とメッセージを送った。
「泣き虫しょったんの奇跡」は2018年秋に全国でロードショー。
関連記事
松田龍平の映画作品
関連商品
リンク
- 「泣き虫しょったんの奇跡」公式サイト
- 「泣き虫しょったんの奇跡」 (@shottannmovie) | Twitter
- 「泣き虫しょったんの奇跡」特報
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
銀杏(ぎんなん)@将棋ライター @ginnan81
「泣き虫しょったん」松田龍平と野田洋次郎、鳩森神社で“将棋の神様”にヒット祈願(写真17枚) - 映画ナタリー https://t.co/zlUcku5eLW