「母と暮せば」は、助産師の伸子のもとへ原爆で亡くなった息子・浩二が姿を現し、彼らが思い出話に花を咲かせながら過ごすさまを描いた作品。映画では吉永小百合と二宮和也が演じた母子役は、舞台版では
監修を手がける山田は「今回の芝居はあえて登場人物を母と息子の二人に絞ったと聞いている。この勇敢なともいうべきチャレンジを、泉下の井上(ひさし)さんは楽しみに笑顔を浮かべてご覧になることだろう」と語る。そして富田は「不安もありますが、二人だけで創造するのではなく、映画という共通項を持って稽古を始められることを、とても心強く感じています」とコメントを寄せた。
なお本作は、「父と暮せば」「木の上の軍隊」に続く、
山田洋次 コメント
「父と暮せば」は井上ひさしさんという天才にしか書けない見事な二人芝居だった。ぼくはその遺志を継ぐようなつもりで映画「母と暮せば」を作ったが、登場人物二人きりという冒険はとてもできなくて、息子の恋人と母を慕う中年男を登場させた。
今回の芝居はあえて登場人物を母と息子の二人に絞ったと聞いている。この勇敢なともいうべきチャレンジを、泉下の井上さんは楽しみに笑顔を浮かべてご覧になることだろう。「父と暮せば」に匹敵するような、決してひけをとらない楽しくて美しい芝居を誕生することを心から願ってやまない。
栗山民也 コメント
靖子さんとは、「炎の人」という画家ゴッホの半生を描いた作品でご一緒したのが初めて。シィヌという名の哀れで貧しい半裸のモデルを演じていただいた。その女の一つの体内に、明るさと暗さの感情が棲みついていて、いつも激しくぶつかり合っていた。
今回の「母と暮せば」の原作を読みながら、ぼんやりと、靖子さんのその時の明るく、だが時に暗く静かな姿がダブって見えた。
富田靖子 コメント
映画版では上海のおじさん役の加藤健一さんや近所のお母さん役の広岡由里子さんがいらっしゃり、また、駆け回る子供達の姿もあって、楽しい雰囲気や長崎の空気感・生活感が様々に表現されていましたが、今回の舞台は、息子役の松下洸平さんと私が演じる母親の二人きり。不安もありますが、二人だけで創造するのではなく、映画という共通項を持って稽古を始められることを、とても心強く感じています。私は舞台の長崎から近い福岡で育ちました。九州で起きたことを、舞台で未来につないでいくことに、身の引き締まる思いです。頑張りたいと思います。
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