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吉永にとって通算120本目の出演映画であり、「北の零年」「北のカナリアたち」に続き北海道を舞台にした“北の3部作”最終章にあたる本作。吉永は、ソ連軍の侵攻により樺太を追われ北海道・網走へとたどり着いた江蓮てつを演じた。
着物姿で登場した吉永が「この映画は滝田監督のもとで俳優とキャストで心をこめて作り上げたものです。皆様いかがだったでしょうか」と客席に問いかけると、会場からは大きな拍手が起こる。てつの次男・修二郎 を演じた堺は「過酷な人生を歩んだ修二郎ですが、子役の方が大変な思いをされてですね。僕は初夏の爽やかな北海道を吉永さんと楽しい旅行をさせていただいたような感じでとても得した気持ちです」と述懐し、会場の笑いを誘う。
続けて堺は「親子もいろんな形があって時には兄弟のようだったり恋人のようでもあり、同志だったりといろんな姿があるんだなと今回の映画で思いました」と述べ、「吉永さんはいろんな顔をなさって、一時も同じようなところがない。見つめ合うだけでスーッと引き込まれるような先輩なので、親子と考えないほうがいろんな関係が出るかなと思いながら演技しました」と明かす。その言葉を聞いた吉永は「逆です。私は堺さんの演技に見とれておりました」とほほえんだ。
修二郎の妻・真理を演じた篠原は「心から憧れの吉永小百合さんとご一緒させていただき、滝田監督のもとでお仕事をすることができ、こんなに素晴らしいところに立っているのは夢のようです」と感激の様子。てつの夫・徳次郎役の阿部は「僕の不得意なダンスがあったんで一生懸命みんなに付いていって、邪魔しないようにがんばりました」と話し、吉永と初共演の佐藤は「すごく緊張して現場に行ったんですけど、いい意味で吉永さんも緊張されているのが伝播してきまして。これだけ大先輩の方でも緊張感を持たれて現場に立たれているんだってホッとしたところがあり、安心して現場に入れました」と撮影を振り返った。
吉永と初めて仕事をしたという滝田は「30代から60代までを詩的に心に沁みるように演じていただきました。吉永さんは『いつでも夢を』という歌で特別な思いを残していただきましたが、今でもスクリーンの中から『いつでも夢を』と語ってらっしゃるような気がします」と思いを語る。そして、本作について「誰にでもやってくる未知なる老いというものは決して悲観するものではなく、豊かなものであるという映画にしたいなと思いました。それと、日本人の人たちの素晴らしい絆というものがうまく伝わればいいなと思いました」とメッセージを伝えた。
「映画とはどういう存在ですか」と司会者に尋ねられた吉永は「難しいですね。そうですね……」と静かに逡巡した後、「やはり子供ですね。実際の子供がおりませんので、受験生の親のように、公開して皆さんがどう受け止めてくれるのかと心配で昨夜は眠れませんでしたし。子供だと思って1本1本大事にしていきたいと思ってます」と笑顔を見せた。
最後に吉永が「73年前の8月に実際に起こった事実をもとに作られています。明日3月11日で大震災から7年の時が経ちます。犠牲になった方々や苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃると思います。そのような中でこのような作品を作って舞台挨拶できることを心から感謝いたします」と真摯に言葉を重ねると、会場は大きな拍手に包まれ、イベントは終了した。
「北の桜守」は現在全国で公開中。
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