第66回ベルリン国際映画祭で芸術貢献賞にあたる銀熊賞に輝いた「
極寒の長江とその周辺で60日間のオールロケが行われた本作は、「Passages(英題)」で第57回カンヌ国際映画祭のある視点部門でカメラドール スペシャルメンションを獲得した
YouTubeにて公開された予告編には、ホウ・シャオシェンとのタッグで知られる撮影監督リー・ピンビンがさまざまなアングルから捉えた長江の雄大な流れと、周囲を囲む自然や三峡ダムなどの人工の風景を収録。ガオ・チュンが「アン・ルー」と叫びながら川へ入る姿なども切り取られている。
「長江 愛の詩」は、東京のシネマート新宿、神奈川のシネマ・ジャック&ベティほかにて全国順次公開。また東京・YEBISU GARDEN CINEMAでは4K版が上映される。
ヤン・チャオ コメント
孤独なガオ・チュンは、長江を上流へと進んでいきながら、運命の伴侶を探している。彼は河の流れに逆らって進むだけではなく、時間の流れにも逆らっている。中国の歴史そのものが刻まれているのが長江であり、それを具現化しているのが登場する女性でもある。しかし現代においては、長江の本来の姿は歪められている。三峡ダムで流れが中断されており、そこで主人公ガオ・チュンの永遠の愛を探す旅も中断されてしまう。ガオ・チュンが経験する旅と、長江の象徴とも言える女性の人生20年が交錯して語られる。上流を進むにつれ、彼女の人生の時間が遡って描かれる。最初は仏教の信者として開眼したばかりだが、上流を進むにつれて、信仰と欲望の狭間で揺れる様子や、彼女の人生の葛藤が描かれる。そして水源に到着するとき、純粋な美しさを持った少女として完結する。ガオ・チュンは、河の上流を目指して旅に出る。それは、裕福でありながらも汚染された上海から始まり、厳しい自然の中にのみ存在する純粋さを表す長江の水源までをたどる現代中国の象徴的な歴史でもある。この作品の核となるのは、時空の異なる男女がお互いの時を駆けるというシュールで神秘的な設定だが、ストーリー自体は、女性を追って河を上っていく男性をカメラが捉えていくという極めて論理的なものでもある。このような手法で、女性の人生がエピソードごとにバラバラに語られていく。誇張されたアングルと実験的なストーリーテリングで、中国のアートフィルムのよくあるパターンからの脱却を図った。
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- 「長江 愛の詩」公式サイト
- 「長江 愛の詩」予告編
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ベルリン映画祭で銀熊賞に輝いた「長江 愛の詩」予告編、撮影はリー・ピンビン(コメントあり) https://t.co/pOsr1790If https://t.co/vDHqmbpjFv