本日11月3日、北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第4回 新千歳空港国際アニメーション映画祭でインターナショナルコンペティション2が実施された。
本映画祭は、アニメーション研究者・土居伸彰がディレクターを務めるもの。インターナショナルコンペティション2では上映企画「変態(メタモルフォーゼ)アニメーションナイト」で話題を呼んだピーター・ミラード、監督作「Rhizome」が第19回文化庁メディア芸術祭で大賞を獲得したボリス・ラベらの作品がスクリーンにかけられた。
会場にはハビエア・デュクリー、イゾベル・ノウルズとバン・ソワーウィン、ヨハン・リプマ、ピーター・バー、折笠良という上映作品の監督陣が登壇。批評家のロラン・バルトが画家のサイ・トゥオンブリーについて書いた文章をモチーフにした出品作「Echo Chamber」について折笠は「トゥオンブリーの絵を観ると彼のように描きたくなる。そしてロラン・バルトの文章も、読むとバルトみたいに書きたくなる。トゥオンブリーの絵について語るバルトという紙が2枚重なっているところに僕の紙を重ねました」と述懐する。
作画も撮影もライトボックスの上で行ったという「Echo Chamber」。司会を務めた土居は、石原吉郎の同名詩をモチーフにした折笠の監督作で、2016年のザグレブ国際アニメーション映画祭にて短編コンペティション部門の準グランプリを獲得した「水準原点」に触れ「詩人の経験を追体験し、苦しみを背負おうとするような作品でした。それに対して本作は喜びがベースにあると考えてもいいのでしょうか?」と質問を投げかける。折笠は「おっしゃる通りです。『水準原点』はなかなか苦しかった。でも本作は描くことに喜びがあって、ずっと長く続けられた。でもその2つは僕の中ではセット。石原吉郎とロラン・バルトは誕生日が1日違いの同時代人で、2部作とは明言してませんが、そのような試みでした」と振り返った。
紙に線を引く手が変化していく「Extrapolate(原題)」などを出品したリプマは「過去作で予測の可能性と不可能性について考えたのを発展させ、本作では不可能性のほうを描こうと思った」とコメント。また抽象的なパターンの運動によって構築された「Pattern Language(原題)」で参加したバーは「観客が宇宙の彼方に飛んで行くような感覚を生み出したい」と作品の狙いを語った。
インターナショナルコンペティションの授賞式は11月5日に開催。
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- 第4回 新千歳空港国際アニメーション映画祭 公式サイト
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