本日10月27日、「
これは第30回東京国際映画祭の特集企画「映画監督 原恵一の世界」のイベントとして行われたもの。2001年に公開された「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」は「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ第9作にあたる作品で、物語の舞台である埼玉・春日部に“20世紀博”というテーマパークが開園したことから起こる騒動が描かれる。
原は本作が自身にとってターニングポイントとなったようで、「これまでの『しんちゃん』と違ってパロディやなんのまねでもない、1本の作品ができたと実感があった」と当時の手応えを述懐。感情移入するあまり葛藤もあったようで、「これまでの『しんちゃん』ではない結末になってしまうと思ったけど、自分がいいと思うほうに大きく一歩踏み出してみた」と明かす。「お客さんは怒るだろうと考えていたけど、子供だけでなく大人も喜んでくれたので驚いた。自分は形を決めて作りすぎていたことに気付かされたんです」と語った。
樋口は1999年、当時「ガメラ3・邪神(イリス)覚醒」に特技監督として携わっていた頃、原が監督を務めた「映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」を鑑賞して「好き放題やっているなあ」と感銘を受けたと振り返る。その後も樋口は原が手がける「映画 クレヨンしんちゃん」を観るたび「好き放題に拍車がかかっている!」と感じたというが、「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」を観て「大人が好き勝手やっているだけの映画ではない」と思ったと原に伝えた。
イベントでは、原の新作よりイメージボードを初披露。緑のアーチの下で少女が自転車を引いているビジュアルで、原は「ファンタジー色の強い作品になる。この少女が現実世界から異世界に入り、いろんな体験をするという王道の冒険ファンタジーです」と新作のイメージを説明する。また「本格的なファンタジーは僕にとって初めて。人間の関係性、ユーモア、シリアスな展開、アクション……僕が今まで作ってきた作品の中で一番大サービスの作品になると思います」とさまざまな要素が詰まった作品であることも示唆した。現在絵コンテ作業と並行して作画作業も行われており、2018年に完成予定。原は「それなりに順調に進んでいます」と報告した。
樋口はイメージボードを見ながら、「アニメーションで絶対描いちゃいけないってよく言われているのが自転車なんですよ。作画が大変だから。アニメーション的な挑戦がこの自転車に表れていますよ!」と観客に呼びかける。原は「こういうメカはパーツが狂うと一発で変だとわかるから、アニメーターは自転車描くの嫌がりますよね」と苦笑しつつ、「自転車に乗る長いシーンがあるんですけど、すでにレイアウトやラフの作業はアニメーターが手描きで済ませています。そこに3Dで作業して正確性をミックスしようかという話になっています」と返答。樋口は「買うと安いのに描くとこんなに大変だなんて!」と嘆いていた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。「映画監督 原恵一の世界」も11月2日まで続く。
映画監督 原恵一の世界
開催中~2017年11月2日(木)東京都 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
料金:一般 1300円 / 学生 1000円 / 学生当日 500円
「河童のクゥと夏休み」
2017年10月28日(土)10:15~
<登壇者>
「エスパー魔美 星空のダンシングドール」、「エスパー魔美」第54話「たんぽぽのコーヒー」、第96話「俺たちTONBI」
2017年10月29日(日)21:00~
<登壇者>
原恵一
「百日紅~Miss HOKUSAI~」
2017年10月30日(月)20:40~
<登壇者>
原恵一 / 富貴晴美
※オンラインチケット完売
「カラフル(2010年)」
2017年10月31日(火)17:50~
<登壇者>
原恵一 / 町山智浩
「はじまりのみち」
2017年11月2日(木)20:20~
<登壇者>
原恵一 / 加瀬亮
※オンラインチケット完売
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