是枝裕和が香港オムニバス映画「十年」の日本版を製作総指揮

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本日10月16日、香港映画「十年」をもとにした「十年 日本(仮)」の製作発表会見が第22回釜山国際映画祭で行われ、エグゼクティブプロデューサーを務める是枝裕和らが登壇した。

「十年 日本(仮)」製作発表会見の様子。左から早川千絵、津野愛、是枝裕和、藤村明世、木下雄介。

「十年 日本(仮)」製作発表会見の様子。左から早川千絵、津野愛、是枝裕和、藤村明世、木下雄介。

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「十年 日本(仮)」は、5人の監督が手がけた5つの作品からなるオムニバス映画。石川慶の「美しい国」、木下雄介の「いたずら同盟」、津野愛の「DATA」、早川千絵の「PLAN75」、藤村明世の「その空気は見えない」で構成される。また日本、タイ、台湾の3カ国による国際共同プロジェクトの1作品であり、「十年 タイ(仮)」「十年 台湾(仮)」の製作も決定。「十年 タイ(仮)」には監督としてアピチャッポン・ウィーラセタクンらが参加する。

「十年 日本(仮)」製作発表会見の様子。

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香港版の「十年」が優れた映画であると話す是枝は「オリジナル版は非常に挑戦的な企画でしたし、政治的な要素を題材にしているものも多く含まれていて、果たして日本で10年後を描くことが、香港版に匹敵する意味を持つだろうか、ということを考えました」と述懐。続けて「僕より若い世代が、政治的な課題となかなか向き合っていないように見える。作品作りを通して、若い世代が今の社会とか日本をどのように捉えているかを見てみたいと思いました」と同プロジェクトに参加した理由を語った。

また是枝は、約25年前にホウ・シャオシェンと会ったときのことを回想しながら「日本、韓国、台湾、香港、中国の監督が集まって、インディペンデントの映画を公開していく国境を越えたプロジェクトを作りたいと(ホウ・シャオシェンが)話していたんです」と述べ、「そのとき僕はまだ映画監督ではなかったけど、『お前が監督になったらそこに来て作れよ』と誘ってくれたんです。今回のプロジェクトの話をいただいたとき、真っ先に思い出したのはそのことでした」としみじみコメントする。若手の映画監督への支援に関して問われると「若手にどういう場所を提供するか考えたとき、同世代のアジアの若い作り手たちと刺激し合うことで、意識が変わるはずだと。僕も若いときに釜山国際映画祭をはじめとする多くの映画祭に参加し、自分の中で変化が起きたという実感があるので」と自身の経験に触れながら話した。

「十年 日本(仮)」は2018年に公開される。

是枝裕和 コメント

僕がこの企画に賛同して参加をした理由はいくつかあります。オリジナルの香港版「十年」が素晴らしかったことが一つ。
そして、このプロジェクトをアジアの各国で実現していくこと、映画を通じて10年後のアジアというものを考える、みんなで考えていくことのきっかけになるのではと思ったことが1つです。それと同時に、なかなか日本ではショートフィルムがまだ一般的ではないこと、そして日本の若手の監督たちが日本の国内だけでなく、こういった形でこの(釜山国際)映画祭へ参加できることも意義が大きいと思うんですけど、アジアの映画人の1人として映画を作り、アジアの映画人たちと交流を深めていくいいきっかけになればと思いました。これが参加を決めた大きな理由です。
もうちょっと若かったら自分も監督として参加したんですけどね。
今回エグゼクティブプロデューサーというちょっと偉そうな肩書きですけど、若い監督達と一緒に脚本作りに関わったりアドバイスをしたり、そういうサポートというポジションでの関わり方になっています。とても楽しんでやっています。

石川慶 コメント

テレビでも商業映画でもなかなか扱えないテーマを、こんなに伸び伸びやらせてくれるプロジェクトはこれまでもこれからもないでしょう。十年後、映画人として後悔しないように、声を大にして撮ります。

木下雄介 コメント

このプロジェクトに参加できて光栄に思います。今起きていることの連続が、将来の日本を作ると思っています。日本の将来のために、希望のある映画を作ろうと思います。

津野愛 コメント

まず、香港版の「十年」を観て日本の諸問題のどこに自分なりの切り口を見つければいいのか、すごく悩みました。設定は10年後ですが、20年後、30年後と、人間の普遍的な思いを込められたらと思います。

早川千絵 コメント

オリジナルの「十年」に励まされました。今回このプロジェクトに参加することができて光栄に思っています。

藤村明世 コメント

今回は私が思う日本の未来を誠実に、そして自分の中の正義を投影しながら映画を作っていきたいと思います。とても光栄な機会をいただいたので、伸び伸びといろいろなことに挑戦しながら映画を作っていきたいと思います。

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