韓国映画「
「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドンが企画した本作は、ユン・ガウンが自身の経験をもとに脚本を手がけたヒューマンドラマ。共働きの両親を持つ小学生の少女ソンは、裕福な家庭で暮らす転校生ジアと友情を築くが、互いの家庭環境の違いなどから2人の関係に変化が生じていく。
ユン・ガウンは「日本で正式に公開していただけてうれしく思っています」と挨拶。脚本の制作過程について「まずは私が子供の頃に感じた感情をそのまま見せたいという思いがありました。それと同時に観客を楽しませたいという気持ちがあり、個人的な体験にとらわれすぎてはいけないのではないかと悩みました」と振り返る。
NPO法人・ストップいじめ!ナビの代表を務めている荻上は「俯瞰的に子供たちの関係を映し出すのではなく、目や顔などをクローズアップで捉え、ミクロな部分に焦点を当てるという方法が取られていますね。この撮り方を選んだ理由はなんですか?」と質問。ユン・ガウンは「引きで撮ると美術などに余計な予算がかかりプロダクション的に難しかった。また子供たちの微妙な関係を捉えたいと考えたとき、それは顔に出ると思ったんです。子供たちは感情を隠せないので」と答える。
荻上は「説明的な部分が極力削ぎ落とされている。子供たちの目線の変化、目をそらすとか目が離せないといった微細な表情によって物語を伝えていく」と作品を称賛し、「ワークショップ的な作り方をしたと伺っています。子供たちとどのように関わったのでしょうか?」と撮影現場の状況に迫る。その質問にユン・ガウンは「シナリオはスタッフや大人のキャストにだけ渡しました。脚本は大人の私が作ったもので、子供たちの演技を邪魔すると思ったんです。なのでシーンの目的だけ伝えて、即興劇のような練習をたくさんしました。子供たちのほうが正解を知っている。私たちの知らない答えを持っていると思ったんです」と演出の狙いを明かす。
エンディングについて聞かれたユン・ガウンは「答えを出して終わるというのが多くの映画のフォーマットであるとは思います。でも私はそういう形を取りませんでした。皆さんそれぞれに受け止めていただき、一緒に悩むことを始められればと思っています」と観客に思いを届けた。
「わたしたち」は、9月23日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。
ユン・ガウンの映画作品
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- 「わたしたち」公式サイト
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『わたしたち』ユン・ガウン監督とトークショーでお話しました。映像の話、演技の話、いじめ体験の話、どれも直接聞けてよかった。 https://t.co/oLmLLYf6y9