本日8月25日、東京・アップル銀座にて、監督作「
「三度目の殺人」は、福山雅治と役所広司が共演する法廷サスペンス。福山演じる弁護士・重盛と、役所扮する殺人犯・三隅を中心に展開する。裁判をビジネスと割り切っていた重盛が、2度目の殺人を犯した三隅の供述に翻弄されながら真実を追い求めていく姿が描かれる。
本作をすでに5回観たという坂元は「観れば観るほど、どんどん面白くなる映画。是枝さんが手を引いて導いてくれるような映画じゃなくて、是枝さんはどこに行ってるんだろうとドキドキしながら観るような映画。今までの是枝さんの映画とは違って、おいしいご飯とか出てこないんですよ」と興奮気味に語る。是枝は「食べ物に興味がないという主人公なので、カロリーメイトか“吉牛”くらいしか食べてない。意図的に食事を排除してみようかなと思いました」と話す。
坂元に「役所さんは何度か殺人犯役をやっていますが、そのどれとも違った。役所さんに殺人犯をやってもらう意図はなんだったんですか?」と質問された是枝は、「演出家としてはどこかで一度向き合わないと一人前じゃないんじゃないかと思う相手なんですよね。特別な役作りをされるわけではないのに、何をやっても出てきた瞬間にその役に見える」と回答。そして、「まだこの作品の話が出ていなかった去年のお正月に、役所さんから来た年賀状に手書きの文字で『そろそろですね』って書いてあって。こういうのは縁だから、これで役所さんとできるなと思ってお願いしました」と振り返る。
「当て書きってなんなのか自分でもよくわかってないんですが、俳優さんの何を頭に浮かべながら脚本を書きますか」という坂元の問いに、是枝は「声なんですよね。その人の声でキャラクターが動き出してからは、当て書きになっていきますね」と述べる。そして、「ご本人が持っているパーソナリティに乗っかることもありますが、知らないまま書くことも多い。福山さんは明るいエンターテイナーなので、今回は彼のキャラクターに乗ってるわけじゃないんですけど、すごく嫌なセリフが上手なんですよ。どんどん筆が走っていくので、今回もすごく嫌な奴なんですよね」と笑顔で話した。
続いて、坂元が脚本を書いた「カルテット」の話に。是枝は松たか子を「舞台ではいつも素晴らしいのに、テレビでは松さんの持ってるポテンシャルを生かしきれてないと思うことが正直あるんですが、この役に関しては非常によかったです」と称賛。坂元は「松さんは日本一のコメディエンヌだと思っていて、確実に笑いが取れるという安心感がある。何を投げても打ち返せるタイプなんだろうなというのは最初からわかっていましたね」と述懐した。
来場者とのQ&Aの時間では「お二人の作品には名言や名シーンが多いですが、メッセージを意識して書かれてるんでしょうか」という質問が。坂元は「自分が出ないようにってことは心がけてる。登場人物たちが生き生きと動き出して、自分たちの言葉を話し出すのが大事なんです」と吐露。是枝も「僕が簡単に答えられるようなメッセージしか伝わってないなら大した作品じゃなくて。自分では意識してないような、言語化できない、見えていない氷山の部分がたくさんあるのがいい作品だなと思います」と語り、イベントを締めくくった。
「三度目の殺人」は9月9日より全国ロードショー。
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- 「三度目の殺人」公式サイト
- 映画「三度目の殺人」 (@SandomeMovie) | Twitter
- 「三度目の殺人」本予告
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