第39回PFF全ラインナップ発表、山戸結希「PFFは“光”が乱反射する場所」

7

180

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 52 86
  • 42 シェア

第39回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)のラインナップ発表記者会見が本日8月10日に東京・東京国立近代美術館フィルムセンターにて行われた。

第39回ぴあフィルムフェスティバルのラインナップ発表記者会見の様子。左から荒木啓子、李相日、山戸結希、小田学。

第39回ぴあフィルムフェスティバルのラインナップ発表記者会見の様子。左から荒木啓子、李相日、山戸結希、小田学。

大きなサイズで見る(全53件)

第39回ぴあフィルムフェスティバルのビジュアル。

第39回ぴあフィルムフェスティバルのビジュアル。[拡大]

PFFは“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに1977年から始まった映画祭。コンペティションのPFFアワードは、石井岳龍、黒沢清、園子温、熊切和嘉、白石晃士、タナダユキ、内田けんじ、石井裕也ら多数の映画監督を輩出してきた。

「立ち去った女」

「立ち去った女」[拡大]

会見ではまずPFFディレクターの荒木啓子が第39回PFFの全ラインナップを発表。特集「映画の闘い / 闘いの映画」には、ラヴ・ディアスの「立ち去った女」「昔のはじまり」、世界初の前後編一挙上映となる「あゝ、荒野」、笠原和夫が脚本を手がけた「仁義なき戦い」シリーズ4作、ホウ・シャオシェンの「悲情城市」とエドワード・ヤンの「古嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」の2本立て、パトリシオ・グスマンのドキュメンタリー「チリの闘い」が並ぶ。

ジャン=ピエール・メルヴィル (c)1972 STUDIOCANAL

ジャン=ピエール・メルヴィル (c)1972 STUDIOCANAL[拡大]

1人の映画作家をピックアップする毎年恒例の特集には、生誕100年を迎えるフランスのジャン=ピエール・メルヴィルが選ばれた。「何度でも!メルヴィル」と題し、「ギャング」「海の沈黙」「いぬ」「影の軍隊」「仁義」の5本が上映される。また矢口史靖鈴木卓爾とともに1994年から制作し始めた「ONE PIECE」の特集企画も。これまで2人が作った63作品の中から13作品が上映される。さらに「ワンピース・チャレンジ!」と題し、「ONE PIECE」の固定カメラ、ワンシーンワンカットという方法論で黒川幸則深田晃司今泉力哉三宅唱らが新たに制作した新作短編もスクリーンにかけられる。

「月光の囁き」

「月光の囁き」[拡大]

「永遠の人」

「永遠の人」[拡大]

「PFF講座シリーズ 映画のコツ」には、山戸結希塩田明彦が登場。山戸が偏愛する、塩田の監督作「月光の囁き」の上映後に2人が対談を行う。会見に出席した山戸は「内なるインスピレーションをどうやって映画に輝かせることができるのか。誰もが簡単にカメラを手に取って瞬間的に花を咲かすことができる時代。映画はその人のまなざしが映り込みさえすれば、その作品が唯一無二であることが担保される、誰もが奇跡的な処女作を撮ることが可能な表現メディアです。PFFはそういった“光”が乱反射する場所」とコメント。そして「塩田監督には、映画を作り続けるための映画の“知”のあり方についてお聞きしたいと思っています」と述べた。また「映画のコツ」では、木下惠介を敬愛する原恵一橋口亮輔による講座「天才・木下惠介は知っている」も。こちらでは木下の監督作「永遠の人」が上映される。

「サイモン&タダタカシ」 (c)『サイモン&タダタカシ』製作委員会 (c)PFFパートナーズ

「サイモン&タダタカシ」 (c)『サイモン&タダタカシ』製作委員会 (c)PFFパートナーズ[拡大]

そのほか、ロカルノ国際映画祭2017新進監督コンペティション部門に選出された二ノ宮隆太郎の「枝葉のこと」、第24回PFFスカラシップ作品「サイモン&タダタカシ」の上映も行われる。「サイモン&タダタカシ」の監督・小田学は「貴重な体験をさせていただきました。脚本に向き合う時間が自主映画とまったく違う。周囲を納得させるため、夜中に徘徊しながらずっと脚本のことを考えてました」と苦労をにじませた。

PFFアワード2017入選作品

PFFアワード2017入選作品[拡大]

そして約4カ月に及ぶ審査を経て、548本もの応募作の中から17本が入選したPFFアワード2017。最終審査員として、「怒り」の李相日、「俳優 亀岡拓次」の横浜聡子、女優の市川実日子、「聖の青春」などを手がけたプロデューサー永井拓郎が参加する。残りの1名は現段階では未定となっている。会見に出席した李は、PFFアワード2000にてグランプリを含む4冠を獲得した自身の「青~chong~」が上映されたときのことを回想。「PFFは観客と一緒に自分の映画を観るという、なんとも居心地の悪い感覚を初めて体験させてくれた(笑)。15年以上経った今でも慣れないですね」と笑いを誘う。そして入選した若い監督たちへ「今抱いている不安を一生持ち続けてください。人がどう思っているか、自分がどう感じるかは不安を持ち続けることで考えることができます」とアドバイスした。

第39回PFFは9月16日から29日まで東京・東京国立近代美術館フィルムセンターで開催。前売り券は8月26日より、チケットぴあ、サークルK・サンクス、セブン-イレブンで販売される。なおPFFアワード2017は当日券のみとなっている。上映スケジュールや料金についての詳細はPFFの公式サイトで確認を。

第39回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)

2017年9月16日(土)~9月29日(金)東京都 東京国立近代美術館フィルムセンター
※月曜休館

映画の闘い / 闘いの映画

あゝ、荒野 前篇
あゝ、荒野 後篇
「チリの闘い」
「仁義なき戦い」
仁義なき戦い 広島死闘篇
仁義なき戦い 代理戦争
仁義なき戦い 頂上作戦
「立ち去った女」
「悲情城市」
「古嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」
「昔のはじまり」

何度でも!メルヴィル

「ギャング」
「海の沈黙」
「いぬ」
「影の軍隊」
「仁義」

ワンピース!新旧バトル

矢口史靖、鈴木卓爾「ワンピース・インターナショナル・クラシックス」
黒川幸則、深田晃司、今泉力哉、三宅唱ほか「ワンピース・チャレンジ!」

PFF講座シリーズ 映画のコツ

山戸結希監督が塩田明彦監督に尋ねる「みずみずしさの映画術」
参考上映作品「月光の囁き」

原恵一監督と橋口亮輔監督が映画の神髄を探る「天才・木下惠介は知っている」
参考上映作品「永遠の人」

特別上映

二ノ宮隆太郎「枝葉のこと」

第24回PFFスカラシップ作品

小田学「サイモン&タダタカシ」

PFFアワード2017入選作品

山中瑶子「あみこ」
高橋カンナ「うつらうつら」
本村花菜「円の網」
杉本大地「同じ月は見えない」
大浦美蘭「かえりみち」
藤田千秋「狐のバラッド」
松浦真一「子どものおもちゃ」
城真也「さようなら、ごくろうさん」
竹林宏之情操家族
武井佑吏「赤色彗星倶楽部
加納土「沈没家族」
シガヤダイスケ「春みたいだ」
中尾広道「風船」
太田達成ブンデスリーガ
尾崎健「やさしいフルスイング」
門脇康平「蝋石」
清原惟わたしたちの家

この記事の画像(全53件)

読者の反応

  • 7

@zen0602

第39回PFF全ラインナップ発表、山戸結希「PFFは“光”が乱反射する場所」 - 映画ナタリー https://t.co/xowLIKMIVA
オープニングに世界初の前後編一挙上映となる「あゝ、荒野」

コメントを読む(7件)

関連記事

関連商品

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 枝葉のこと / チリの闘い 第一部 ブルジョワジーの叛乱 / チリの闘い 第二部 クーデター / チリの闘い 第三部 民衆の力 / 古嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 / 立ち去った女 / 赤色彗星倶楽部 / 永遠の人 / わたしたちの家 / 仁義なき戦い 広島死闘篇 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。