本作は、内館牧子の同名小説を
4月に岩手の盛岡市内で桜をバックにロケを行った後、7月初頭に東京都内で夏編のクランクインをした本作。同月中旬に国の登録有形文化財でもある築83年のアトリエを借り切って行われたこの日は、舘、黒木、広末、臼田、田口のメインキャストが集結した。撮影されたのは、俊彦のアトリエ兼自宅にて、壮介が恋心を抱く相手・久里と、妻や娘が鉢合わせしてしまうシーン。しかし久里と俊彦が交際関係にあることが発覚し、壮介の最後の恋が見事に砕け散るという場面だ。
30度超えの真夏日となった同日、現場では頭にタオルを巻いた中田の「いよーっ!」「よーっ!」という独特なカットの声が響き渡る。中田と黒木がこだわっていたのは、妻・千草の表情。定年を迎えた壮介をからかうように「恋でもしたら?」と提案した千草が、いざ旦那の恋の相手を前にしたとき、どのような態度を取るのかという部分だ。話し合いの結果“久里が壮介の恋の相手であると100%わかっているが、気付いていない表情をする”ということに決まり、「女性には寛容でいてほしい」という考えの舘も「知っているけど強く言わないのが、男にとって一番やさしい女性のあり方。それがいいよ!」と賛同した。
撮影後に行われた囲み取材にて「美女3人に囲まれて撮影は楽しいですが、役としてはタジタジです」とコメントした舘は、「毎日楽しくやっているけど、朝起きて『昨日の芝居は失敗したな』って毎日思っています。監督も笑ってくれるし、調子づいてやりすぎちゃう。最初はケーリー・グラントみたいな雰囲気でって言われていたのに、最近は『植木等さんに似てきたね』って言われたりして(笑)」と語る。この日のシーンは恋の相手と妻が鉢合わせる場面だったが、自身が経験した“女性の鉢合わせ”について尋ねると「10代のときにあります(笑)。何も言えなかったね。そういうとき、男は無言になると学びました。壮介と久里は(浮気や不倫ではなく)想像の中での関係なのでちょっと違いますが、やっぱり無言にはなりますよね」と振り返った。
そんな舘は「黒木さんはきちんとした演出家でもいらっしゃるので……」と言いかけたところで黒木に小突かれ、「DVだ!(笑)」と悲鳴を上げる。監督としても活動する黒木は「中田監督と舘さんは、現場で『男ってこうだよな、小さいよな』と話しています。男の人のかわいらしさ、ある意味のこっけいさや切なさが垣間見えて、楽しく撮影しています」と現場の感想を述べた。
田口は「舘さんよりもモテる役と聞いて、『大丈夫ですか、俺で!?』と言いました(笑)。監督のマジックでモテるように見せてもらえたら」と笑う。舘と黒木が演じる両親に関して臼田は「こんな素敵なパパとママ、ありえない!って思ったんです(笑)。黒木さん演じるカッコいいママと、舘さん演じるキュートなパパに囲まれて、家族っていいなと日々思っています」と話す。また前日が広末の誕生日であったこの日、舘と黒木から花束とプレゼントが贈られた。広末は「夫婦を壊す役なのに、祝っていただいて……。私には、このご夫婦は壊せません!」と感動していた。
冒頭での壮介はだらしない体型で登場することから、襦袢を巻き恰幅をよくして芝居した舘は「ファーストシーンは“すごい形”で出てきます」とアピール。そして本作について「定年したその日から映画が始まりますが、テーマは希望。最後には、人生はやっぱりこんなに楽しいんだって表現できたらできたらうれしいな」と語った。
「終わった人」は2018年に公開。
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