幼少期に脳性麻痺を患い車椅子生活を送る主人公・クマと、人格障害を抱える風俗嬢・ミツの恋愛を描いた本作。視聴覚障害者向けのスマートフォンアプリ・UDCastに対応しており、視覚障害者は音声ガイダンスを聞きながら、聴覚障害者は字幕ガイダンスを読みながら映画鑑賞を楽しめる。本日はUDCast上映をいち早く体験できる試写会ということで、学生約40人に加え、一般公募した車椅子・杖で生活している約10名の観客も参加した。
UDCastを使用した学生からは、役者の表情の表現に関する指摘が。あるシーンでリリー演じるクマが険しい表情をしていると思ったところ、音声ガイダンスでは「穏やかな表情」と説明があったという。松本は「確かに微妙な表情でしたね。うれしい話をしているシーンなんだけど、なんとなく複雑な気持ちでもある」と納得し、「表情によってはあえて説明しなかったり、想像にお任せする部分もあるんです」と自身も携わったというUDCastの表現について解説。リリーは「その直前に小池栄子に髪を洗ってもらうシーンがあったから、男としての喜びが邪魔してわかりにくい表情になったんでしょうね」と冗談交じりに話しつつ、「文章を書くときも同じで、多様性のある状況って書きづらい。うれしそう 、悲しそう以外に、もうちょっとぼやかした表現でもいいのかもしれないですね。香ばしい顔、甘酸っぱい顔みたいにぼやかしたほうが伝わる場合もあるのかも」と提案する。
UDCast上映は熊篠たっての希望だったようで、松本は「(熊篠が)障害者の方たちに届けられる環境を作りたいってずっと言っていたんです」と明かした。すると熊篠による「官能小説の朗読CDや字幕付きAVは経験済みです」という突然の告白に、興味津々のリリー。熊篠は「メーカーの人いわくAVの購入者は50代、60代の層が多いそうです。ドラマ仕立てのAVは家庭のテレビで音を出して観れない。だから聴覚障害者向けでなく、年配の方向けらしいです」としっかりとした説明でリリーをうならせた。
本作は、自身も脳性麻痺を抱えつつ障害者の性への理解を訴える活動家として活躍する熊篠の実体験にもとづいた物語となっている。熊篠は「僕自身が堅苦しい話ができないので、面白おかしくいじってもらえればそれでよかった」とケロリ。リリーは「障害を題材にするとドキュメンタリー調になることが多いけれど、これはリアルと映画的な描写が混在している作品です」と本作について表現した。
「パーフェクト・レボリューション」は、9月29日より東京・TOHOシネマズ 新宿ほかで全国ロードショー。
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