黒沢清「散歩する侵略者」スピンオフドラマ放送、夏帆、染谷将太、東出昌大が出演

黒沢清監督作「散歩する侵略者」のスピンオフドラマ「予兆 散歩する侵略者」が、WOWOWにて放送される。

「散歩する侵略者」は、前川知大率いる劇団イキウメの同名演劇を映画化したもの。宇宙からやってきた“侵略者”たちによって、日常が非日常へと変化していくさまが描かれる。数日間の失踪のあと別人のようになって帰ってきた夫・真治を松田龍平、彼の変化に戸惑う妻・鳴海を長澤まさみが演じた。

映画と同じく黒沢が監督し、高橋洋も脚本に参加した「予兆 散歩する侵略者」は、映画のアナザーストーリーを新たな設定とキャストでつづるもの。主人公の山際悦子を夏帆が、夫の辰雄を染谷将太が演じ、辰雄が勤める病院の新任外科医・真壁司郎に東出昌大が扮する。そのほか中村映里子、岸井ゆきの、大杉漣らも共演に名を連ねる。

物語は、悦子の同僚・みゆきが実の父親を幽霊扱いし始めることからスタートする。心療内科で診察した結果、彼女には「家族」という概念が欠落していることが明らかに。そんな中悦子は、新任外科医の真壁と行動をともにする辰雄が、精神的に追い詰められていくさまを目の当たりにする。ある日真壁に「地球を侵略しに来た」と告げられた悦子は、自分の周りで起こる異変に彼が関係しているのではないかと思うようになる。

この発表にあたり、キャストと黒沢からコメントが到着。夏帆は「宇宙人に地球を侵略される、一見突飛なお話ですが、人間という生き物を、滑稽でおもしろく、そして美しく描いた作品だと思います」と、染谷は「日常が侵略された時、何が残るのか、この作品を目撃するのが自分もとても楽しみです」と話す。そして東出は「敬愛する黒沢監督のもと、高橋洋さんの素敵で怖い台本でお芝居出来る事が、嬉しくてたまりませんでした」と喜びを語り、黒沢は「本篇が進行するすぐとなりでこんなことが起こっていようとは誰が想像できたでしょう。前川知大の『散歩する侵略者』は、こうなる可能性も秘めていたのです」とメッセージを寄せている。

全5話の「予兆 散歩する侵略者」は9月7日24時よりWOWOWメンバーズオンデマンドにて先行配信開始。9月18日より、WOWOWプライムにて毎週月曜24時にオンエアされる。

夏帆 コメント

悦子という、揺るぎのない強さを持つ女性をどうやって演じたらいいのか、自分の未熟さに葛藤する日々でした。それでも心から尊敬する方達と共に、ずっと憧れていた黒沢監督の世界に身を置くことができて、夢のような素晴らしい時間を過ごすことができました。宇宙人に地球を侵略される、一見突飛なお話ですが、人間という生き物を、滑稽でおもしろく、そして美しく描いた作品だと思います。映画とあわせて、ぜひ楽しみにしていてください。

染谷将太 コメント

久々の黒沢組に胸踊らせながら、素敵な時間を過ごさせていただきました。過激に、そして静かに、侵略される日々をおくり、毎日の景色が変わっていく。そんな日々を黒沢監督のもと夏帆さん、東出さんと共有できたことを感謝しています。まだ完成はみていないですが、ずっとみていられる、ずっと見守りたくなる、そんな作品となっているような気が勝手にしています。映画と合わせてこの世界に浸っていただけたら幸いです。日常が侵略された時、何が残るのか、この作品を目撃するのが自分もとても楽しみです。

東出昌大 コメント

敬愛する黒沢監督のもと、高橋洋さんの素敵で怖い台本でお芝居出来る事が、嬉しくてたまりませんでした。染谷さんとは久し振りの共演になりましたが、また現場をご一緒出来て、心から嬉しく、力になりました。色々な感慨もある中、視聴者の方々がご覧になったことの無いような、新しいワクワクするものになればと、撮影をしてきました。是非、楽しみに待っていてください。

黒沢清 コメント

本作について

映画版をサポートするためにささやかに企画されたものでしたが、主演3人の神がかった熱演もあって、予想外に獰猛な作品に仕上がりました。本篇が進行するすぐとなりでこんなことが起こっていようとは誰が想像できたでしょう。前川知大の「散歩する侵略者」は、こうなる可能性も秘めていたのです。

夏帆について

彼女の素早さに驚きました。何が起こっても迷いなく一瞬にして行動を開始するその様は、日本人離れしていて観客の目をくぎ付けにするでしょう。

染谷将太について

白でも黒でもないグレーゾーンを、これほど的確に演じることのできる若手俳優は他にいないでしょう。もはや成熟を通り越して老獪の域に達しています。

東出昌大について

これほど妖艶な演技を見せてくれるとは思ってもいませんでした。何かが彼の上に舞い降りたのか、それともしたたかな計算か、わからないところが魅力です。