「海辺のリア」で認知症の老人演じた仲代達矢、「老いもまたよきかな」

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海辺のリア」の初日舞台挨拶が、本日6月3日に東京・テアトル新宿にて開催され、仲代達矢黒木華原田美枝子阿部寛、監督の小林政広が登壇した。

「海辺のリア」初日舞台挨拶の様子。

「海辺のリア」初日舞台挨拶の様子。

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仲代達矢

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本作は、かつてスター俳優だった桑畑兆吉を主人公にしたヒューマンドラマ。認知症の疑いがあり、娘夫婦に高級老人ホームへと送り込まれた兆吉が、施設から抜け出し海辺をさまよい歩く中で、妻とは別の女に産ませた娘・伸子と突然の再会を果たす。

スタンディングオベーションに、笑顔で応える仲代達矢。

スタンディングオベーションに、笑顔で応える仲代達矢。[拡大]

上映後に仲代が登場した途端、満員の客席からスタンディングオベーションが起こる。鳴り止まない拍手に笑顔で応えた仲代は、「皆さんが今ご覧になった、桑畑三十郎じゃなくて……兆吉さんを演りました、仲代でございます」と黒澤明の監督作「用心棒」を使ったジョークを飛ばした。

過去に小林とタッグを組んだ「春との旅」「日本の悲劇」でも高齢者を演じてきた、現在84歳の仲代。「私は、高齢者って邪魔にされてるんじゃないかなと思ったりするんです。でもこの映画を撮って、『老いもまたよきかな』って気持ちになりました」と話す。小林が打ち上げの日のことを「仲代さんに、次は『シャイニング』のジャック・ニコルソンみたいなのやりましょうかって言ったら、すごく嫌な顔されました(笑)」と回想すると、仲代も「監督に、すごい悪役をやる機会はないかって聞いたんですけど……ちょっとね、恐ろしすぎますよ」と笑った。

阿部寛

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仲代は本作の長ゼリフを覚えるために、すべて原稿用紙に書き写して暗記したという。そのあまりの長さに、阿部は「台本を開いたとき、無理だと思ったんです(笑)」と回想する。さらに現在52歳である阿部は「けっこうセリフ覚えがきつくなっている高齢の俳優さんをお見かけすることがあって、自分もあと何年かしたらこうなるのかなと思っていたんです。でも仲代さんは84歳で一字一句間違えずに読まれていて、僕は将来の希望が見えた」と尊敬の念を込め、「仲代さんはあと何本かしか出演できないかもとおっしゃっていましたけど、弁護士の役とか、監督たちも過酷なことを要求して大丈夫だと思います(笑)」と笑いを誘った。

左から原田美枝子、仲代達矢。

左から原田美枝子、仲代達矢。[拡大]

黒木華

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仲代と3度目の共演となる原田は、「30年ほど前に『乱』という作品で義理の親子役をやったんですが、親の仇だったので一言も口も聞かない役でした。一昨年『果し合い』という作品でもう一度ご一緒して、これもいじめる役でした(笑)」と振り返る。すると仲代も「『乱』では嫌われて、『果し合い』でも嫌われて。今度も嫌われるんですけど」と続ける。また黒木は、自身も舞台出身であることから「仲代さんに『舞台はずっと続けていきなさい』って言っていただいたので、ぜひ続けていきたいと心に決めました」と決意を述べた。

本作の宣伝のために期間限定でTwitterを始めた仲代は、「『観てください、観てください』って言うのは恥ずかしいので、『こんにちは』くらいのことしか言ってませんけど(笑)。Twitterを始めたら何百人、何千人もお友達ができたような感じがしました。この映画限定のTwitterになっていまして、続けられたら続けたいと思いますけど……やめるかも(笑)」と照れ笑いを浮かる。最後の挨拶では「私は、出演者でありながら素敵な映画ができたなと思っているんです。そう思ってくれるお客さんが1人でもいらしたら、とてもうれしいです」と締めくくった。

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(c)「海辺のリア」製作委員会

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