J.T.リロイことローラ・アルバート来日、架空の作家リロイを創作した理由とは

1

81

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 23 58
  • 0 シェア

作家、本当のJ.T.リロイ」の日本公開を記念し、作家ローラ・アルバートが来日。4月8日に東京・新宿シネマカリテでトークイベントを行った。

ローラ・アルバート

ローラ・アルバート

大きなサイズで見る(全15件)

「作家、本当のJ.T.リロイ」ビジュアル

「作家、本当のJ.T.リロイ」ビジュアル[拡大]

「作家、本当のJ.T.リロイ」は、1996年に女装の男娼としての過去をつづった自伝「サラ、神に背いた少年」でデビューした少年作家、J.T.リロイにまつわる記録映画。それから10年後の2006年、The New York Timesの記事により、リロイは報道当時40代だったアルバートが作り上げた架空の人物であることが明らかになる。

ローラ・アルバート

ローラ・アルバート[拡大]

アルバートは「過去の虐待の経験から、私は自分自身を恥ずべき人間だと思っていました。そんな自分が、他人の目には見えない存在であるかのように感じていたのです」と振り返り、「しかし私がいるということを知ってほしかったし、話を聞いてほしかった。自分では言えないことを、アートを使って自由に表現することがリロイという存在そのものでした」と解説する。また、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演を務めた「ザ・ウォーク」に触れ、「主人公はワールドトレードセンターのツインタワーの上にワイヤーをかけて綱渡りをしているとき、自分が生きていると心から実感します。そこに死の可能性はあるのですが、彼はほかのやり方では生きていけない。それと同様に、私もほかの方法では生きていけなかったのです」と当時の心境を語った。

2006年の騒動があったあと、アルバートは多くの人々から誹謗中傷されたという。「私は彼らと戦おうと決意しましたが、絶望や怒りや悲しみから立ち去るには多くのエネルギーを要したのです」と苦悩を明かす。そして「自分のことをきちんと説明しなくてはならないという気持ちを持っていましたが、このドキュメンタリーがその役割を果たしてくれたと感じます」としみじみ述べた。

現在自らの回想録を執筆中のアルバートは「私がやらなければならないのは、アートを通じて世の中にインパクトを与えること。よりよい世界を作ることだと思っています」と胸の内を吐露。「たった1人でも苦しんでいる人が救われるのであれば、自分のやっていることには意味があるのだと思います」と力強く語ると、観客からは温かな拍手が送られた。

「作家、本当のJ.T.リロイ」は新宿シネマカリテほかにて公開中。

この記事の画像・動画(全15件)

(c)2016 A&E Television Networks and RatPac Documentary Films, LLC. All Rights Reserved.

読者の反応

  • 1

映画ナタリー @eiga_natalie

J.T.リロイことローラ・アルバート来日、架空の作家リロイを創作した理由とは https://t.co/yYQ3vqwOK2 https://t.co/09dpt0jpzH

コメントを読む(1件)

関連記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 作家、本当のJ.T.リロイ の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。