三浦しをんの同名小説をもとにした本作は、大災害から生き残った3人の男女が25年後に再会し、逃れることのできない運命に翻弄されていくサスペンス。家庭を築き平凡な生活を送る信之を
デトロイトテクノのパイオニア的存在であり、大森の父・麿赤兒の舞踏集団“大駱駝艦”とのコラボレーション経験を持つミルズ。大森は「大駱駝艦を通してジェフ・ミルズさんの曲を聴いていて、もしご一緒したらどうなるだろう? それを想像が出来なくて、でも想像ができないからこそワクワクしました」とコメント。一方ミルズは「サウンドトラックが、そのシーンの新たな登場人物である様子を想像しました。音楽が登場人物の内なる声として存在してほしかったのです。すべての音の要素が目的を持っている、そんな楽曲作りを心がけました」と語っている。
「光」は11月下旬より公開。
ジェフ・ミルズ コメント
オファーを受けた際の感想
この作品に力添えができて光栄に思います。素晴らしい作品なので、さまざまなシーンで巻き起こる感情をしっかりと音楽で表現できるように力を尽くしました。
物語への印象
非常に率直な物語です。控えめさを完全にそぎ落とした、辛辣な作品。芯のある登場人物たちですが、同時に倫理観や慈悲心における喪失感が感じられます。サウンドトラックの制作をしている中で、どの登場人物にも共感できなかったのです。だからこそ、音楽のコード構成や重要な音の配置に関して客観的に作業ができました。
どのようなイメージをもとに音楽を創作したか
サウンドトラックが、そのシーンの新たな登場人物である様子を想像しました。また、音楽が登場人物の内なる声として存在してほしかったのです。すべての音の要素が目的を持っている、そんな楽曲作りを心がけました。
制作時に、大森とどのような対話をしたか
大森監督からはサウンドトラック使用シーンのサンプル映像をいただき、映像を何度も見返してシーンを覚えて作曲を始めていきました。比較的多くのアイデアを創り出しました。監督が示す方向性を理解し、それに見合ったタイプの曲を広げていきました。
日本の観客へのメッセージ
頭を空にして、オープンマインドでこの映画を観にきてほしい、それが僕からのメッセージかな。
大森立嗣 コメント
音楽は映画に強い影響を与えます。ときには魔法のようにシーンをまったく別の意味にしてしまいます。だからこそ慎重になります。いつもそうですが、シーンを説明するような音楽はつけたくないという思いがあり、それがこの映画には一層強くありました。なぜなら「光」という映画が放つ力は、理性的に、寄り添う様にある人間の営みとは別の「生命そのものの光」だと思ったからです。それは異物と異物のぶつかり合い、あるいは融合のようなものです。編集した映像と音楽もそのような関係になればいいと思っていました。
大駱駝艦を通してジェフ・ミルズさんの曲を聴いていて、もしご一緒したらどうなるだろう? それを想像が出来なくて、でも想像ができないからこそワクワクしました。パリとマイアミに拠点を置くジェフさんとは、スチール写真をお送りしたり、映画をイメージするキーワードを10個ほどお送りして作って貰うことになりました。音楽はすぐ出来上がってきました。自分の想像を超えていて、映画と融合したときにどう見えるのかを考えると楽しみで仕方ありませんでした。そんなやりとりを重ねて映画は完成しました。出来上がった映画「光」はタイトルの如く、恒星のように発光していました。俳優が宇宙人のように見えたり、別の星の話に感じたり、地球の重力から解放されたような錯覚すらあったのです。今までこんな映画があっただろうか、すごいことになるぞという感じがしました。
ぜひ映像、ストーリー、音楽がどう共鳴しあっているかを体感していただきたいと思います。
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