実際に起きた事件をもとにした本作は、1960年代の台湾・台北を舞台に、少年たちの無軌道な青春とやがて訪れる悲劇を描くヒューマンドラマ。本作でスクリーンデビューを果たした
22歳のときに本作を観たという
なお今回は、4Kレストアデジタルリマスターが施された3時間56分のバージョンが上映される。
※作品タイトルは「クー嶺街少年殺人事件」(クーは牛偏に古)が正式表記
加瀬亮 コメント
「クーリンチェ少年殺人事件」は二十二歳の時に観ました。当時いろいろと将来のことを不安におもい迷っていた自分は、懐中電灯で足元だけを小さな光で頼りなく照らしながらなんとか先の見えない闇の中を歩いていく少年の姿にひどく動揺したものでした。映画というものが自分自身の内面の現実に深く触れてきたことも初めてでしたし、映画の言葉にならない大きな力を感じたのもこのときが最初でした。観終わったあとに感じた胸の痛みが、自分が映画の道に進むきっかけとなりました。
濱口竜介 コメント
まだ映画館の闇と映写機の光、そこに身を沈めるよろこびを知らない人こそ、この映画に駆けつけて欲しい。
「クーリンチェ少年殺人事件」は繭(まゆ)のような闇の中で自分を作り変える体験を、見る者すべてに約束する光だ。
この映画をスクリーンで発見できる若い世代を、
心の底から羨ましく思います。
富田克也 コメント
「クーリンチェ少年殺人事件」は、長いこと忘れかけていた、日本もアジアなのだということを相対化する視点を与えてくれ、しかもアジアが楽園であり、その楽園はすでに蹂躙され尽くしているのだということをも報せてくれた。
映画を作るときに、頭の片隅にいつもある作品だ。どれほど待ち焦がれても権利問題で上映が叶わず、その理由はいわくつきの噂と共にもはや都市伝説化していった。だったら俺たちがと数年前に思い立ち、動きはじめると本当にたくさんの方々に一緒にやろうと声をかけられ驚いた。その後の詳しい経緯は知らないが、最後はスコセッシが話をつけてくれたという噂。さすがはストリートの大先輩、とかなんとか。とにかくリバイバルにご尽力くださった皆さまに感謝を! 漸くその時はきた! あざす!
舩橋淳 コメント
最高傑作という言葉を、10年に一度だけ使ってよいとすれば、
迷わず「クーリンチェ少年殺人事件」を挙げるだろう。
揺るぎないショットを刻む映画作家として、社会を洞察する思想家として、人間性を優しく見つめる一人の年長者として、エドワード・ヤンを深く敬愛する。
イッセー尾形 コメント
小四が懐中電灯を消した直後の残像は、
まだ光の世界かそれとももう闇の世界か?
わずかな瞬間に全てがまるごと見える。
その姿はなんと痛ましく残酷で、そして、息苦しいほどみずみずしいことか。
嗚呼、プレスリーが切なく美しく胸に迫ります!
行定勲 コメント
何も知らずに、私はあの撮影現場にいた。その時は、台湾映画史に残る傑作映画になるとは分かるはずもなかった。
もう一度あの日の現場に戻って、もっといろいろなものを見たいと思った。
自分の現場もあの日のような空気感になっているだろうかと、今でも考える。
「クーリンチェ少年殺人事件」は、僕にとって「映画の原風景」である。
偶然では作れない緻密な作品だが、ある少年の青春の一瞬を偶然にとらえた奇跡の映画でもある。唯一無二の映画だ。
李相日 コメント
語っていないのに伝わってくるという、イーストウッドの「許されざる者」と近い空気感。
個々の人間を描きながら、同時にその人間が生きている社会、世界を描いている。
スクリーンの外にも世界があり、
時間が続いていることを感じさせる稀有な傑作。
山戸結希 コメント
こんな映画に選ばれてしまった少年少女の運命よ。
だから青春映画が好きだと思うのかもしれない。
若い身体に、映画を刻み込むような236分、青春の影──
撮影現場の暗闇を、踊り場から覗き込むふたりと、確かに目が合った。
マーティン・スコセッシ コメント
「クーリンチェ少年殺人事件」は、夭折した偉大な映画監督エドワード・ヤンの最高傑作だ。
ウォン・カーウァイ コメント
「クーリンチェ少年殺人事件」が1991年に発表された時、新たな才能の登場に世界中が驚いた。
いま、若い観客が初めてこの傑作を観て興奮できることが、非常に嬉しい。
オリヴィエ・アサイヤス コメント
エドワード・ヤンの作品は常に私の映画に影響を与えてくれた。彼は世界を新たな秩序で作り替えることの出来る、冷徹かつ思いやりのある明晰な観察者である。
蓮實重彦 コメント
問答は無用だ。だまって映画館にかけつけ、この真の傑作に打ちのめされるがよい。
菊地成孔 コメント
デジタルリマスタリングには基本的には否定的だが、本作を観て考えを改めざるを得なかった。
初見の記憶を遥かに上回る奇妙で圧倒的な感動。異様に新鮮で懐かしい血と光、青春の生々し過ぎる躍動と家族という原理。
全ての日本人が観るべき。
ほしよりこ コメント
どこか懐かしく穏やかな暮らしの風景と、青春のまばゆい光。
それらの隙間に絶望の影がひたひたと浸透していくさまを私たちは遠くから見つめることしか出来ない。
阿部和重 コメント
90年代のはじまりに現れたこの映画は、90年代のすべてを超越している。
最小から最大まで、光と闇の間にあるあらゆるもののつながりを可視化し、
世界全体を視野に収めつつ、一少年の感情の移ろいを鮮明に描きだす。
そんな唯一無二の作品である。
東山彰良 コメント
私のよく知る台北の街角で起きた殺人事件に瞠目した。
時を経ても変わらない少年の純真と激情、報われない憧憬が、やり場のない怒りへと育ってゆく。
すべての少年時代が内包する脆さを見事に描ききった傑作だ。
松田洋子 コメント
盗んだ懐中電灯で照らされる範囲だけが少年に見える場所。
この先を少女が照らしてくれさえしたら進めると思ったの?
「君を守りたい」なんて少年にしか言えない。
どうしようもない取り返しのつかない一瞬──。
訳ありの少女と居場所のない少年の台北60'sボーイ・ミーツ・ガール。
茂木欣一 コメント
印象的なのは、少年、少女たちの瞳が危うくも堂々としていること。
こんな映画に出会えて、とても嬉しかった。
姫野カオルコ コメント
舞台は台湾なのに、
日本の昭和30年代が生々しくよみがえる。
思春期の純粋が、残酷で無謀なまま息づいていた時代が。
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小暮宣雄 KOGURE Nobuo @kogurenob
大好きな映画監督 エドワード・ヤン<「クーリンチェ少年殺人事件」加瀬亮、濱口竜介、富田克也らの絶賛コメント到着 - 映画ナタリー https://t.co/R1gauNQFnE