これは、第29回東京国際映画祭で実施中の企画「アニメーション特集『映画監督 細田守の世界』」の一環として開かれたトークショー。是枝は、7月に行った早稲田大学の講座での細田との対談を「すごく楽しかった」と振り返り、「それでもう少し話したいなと思っていたら、このお話を細田さんのほうからいただいて、喜び勇んでやってきました」と述べると、細田は満面の笑みを浮かべる。
進行役を務めた細田が「僕や是枝さんには父親の不在という共通のモチーフがあるのでは?」と口火を切ると、是枝は「父親がいることが描けないだけかも。父親がいない環境のほうが自分にとって自然だったから。でも、そう指摘されると父親がいる話を描かなくてはと思うんだけど、気付くと父親が不在になっている」と回答。細田が「父親がいないこと、でも存在感だけがある状況に魅力を覚える」とそのモチーフを繰り返し描いてきた理由を明かすと、是枝は「細田さんの作品は父親の不在をほかの人が埋めていく。そこに強い作家性を感じる」と返した。
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「是枝さんは映画の中でよく男の子を出しますよね? その理由は」と細田が話を振ると、是枝は「女の子はオーディションに来た時点で女優になりたいという子が多い。でも男の子は、『友達が欲しい』とか『人前でしゃべれるようになりたい』とかいい加減な理由で来る子が多い」と返答。「男の子はオーディションで『今日何するの?』と言ってくるところがいい。この子を撮って苦労したいと思える」と続けた。
細田は「映画を作るうえで資格というのは大事だと考えている。お客さんに対しての敬意というか、態度としてそのメッセージを言う権利があるかを意識している」と作家としての信念を明かす。その言葉に対して是枝は「自分の中でどれぐらい強くその作品を作りたいと思っているかは、常に自己確認している。資格という言葉は僕の中からは出てこないけれども、強さのないものを作ってお金をもらうのは恥ずかしいと思っている」と答えた。
新作について話を振られた是枝は「今、脚本を書いてるんだけど、気が付いたら父親がいない話になっていた」と笑い、「違うメロディは作れるけど、歌う声は同じ。違う曲を作りたいんだけど声は変えられない」とコメント。同じく新作について細田が「脚本が決定稿になりました。父親が主題ではないんですが、ちゃんと出てきます。うまくいけば再来年に公開」と述べると、是枝は「僕は来年に新作の撮影に入る予定。もしかしたら、一緒に映画祭を回れるかもね」と述べ、細田にほほえみかけた。
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