「神木隆之介と桐山零が重なる」、大友啓史が「3月のライオン」撮影現場で明かす

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羽海野チカ原作・神木隆之介主演「3月のライオン」の撮影に、映画ナタリーが密着した。

「3月のライオン」メイキングカット

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「3月のライオン」

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本作は神木演じる17歳のプロ棋士・桐山零が、ある3姉妹との交流や、個性豊かな棋士たちとの対局を通じて成長していくさまを描く物語。「秘密 THE TOP SECRET」「ミュージアム」や「るろうに剣心」シリーズの大友啓史が監督を務め、共演者には有村架純、倉科カナ、清原果耶、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊藤英明、豊川悦司、前田吟、高橋一生、中村倫也らの名が並ぶ。

「3月のライオン」メイキングカット

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この日の撮影場所は、東京・将棋会館道場。暖かな陽が差し込む和室に、何組もの棋士たちと将棋盤が配置され、獅子王戦トーナメントの対局シーンが行われた。まずは6月設定の撮影からスタート。黒縁眼鏡をかけて零に扮した神木はグレーのベストを着用して現れ、将棋盤の前に正座する。そして撮影が始まるまでの間、プロ棋士が指導に入り、神木は相手の棋士とともに一手一手を盤上で確認していく。対局シーンではセリフが一切なく、カメラが回り出すと、室内には駒の音が響くのみ。「平常心是道」という書の掛け軸に見守られる中、棋士たちの険しい表情や駒を指す手元がカメラに捉えられる。続いて神木が黒のスーツに着替えると、撮影は2月設定のシーンに切り替わった。

「3月のライオン」主演・神木隆之介(左)と、監督・大友啓史(右)。

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対局の様子を別室のモニターで見ていた大友は、神木の起用理由を「神木くんのキャリアとハマるんじゃないかと思っていた」と述べる。中学生にしてプロに昇段した零と、幼少期から子役として活躍していた神木。大友は「普通だったら主体的に選択していくけれど、零くんは自分の意思で決める前に『それしかない』と選択されていた子。神木くんがどういうモチベーションで俳優になったかはわからないけれど、重なるんじゃないかと思った。それに誤解を恐れずに言うと“フィクションの申し子”みたいなところがあると痛感したんです」と続け、「『るろうに剣心』のとき、呼吸するように芝居をしていた。神木くんは演じることで救われてきたんじゃないかと思う瞬間がけっこうあって、祈りに近いような感じだった。そんな彼が零くんを演じたら、“フィクションの申し子”の実の顔がどこかでのぞかないかななんて。そういう意味じゃハマり役です」と太鼓判を押す。

緊張感が漂う対局シーンの撮影については、「最初はいろんな方法でやろうと考えていたけど、今は逆に何もやらないほうがいいのかなと思い始めている」と明かす大友。「この小さな将棋盤の前で大の男2人が人生背負って向き合っているっていうのは、潔くて面白いなと。その潔さを素直に撮りたくて、余計なことはしなくていいと思っています」と説明する。また本作の魅力として「将棋は駆け引きがある勝負師の世界だし、一方で家族の話でもあり、1人の男の子が自立していく成長物語でもある。父親との関係も描かれ、昭和の暗い香りがする映画をも想起させる」とさまざまな要素を挙げ、「こちら側も引き出しを要求されるタイプのストーリーですね」と、自身にとって挑戦であることをうかがわせた。

「3月のライオン」は前後編2部作で公開。前編は2017年3月18日、後編は4月22日より全国にてロードショー。

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(c)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

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銀杏(ぎんなん)@将棋ライター @ginnan81

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