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2006年に江本が発表した処女小説「股間」を原作とする「過激派オペラ」は、劇団・毛布教の劇作・演出家の成功と挫折を辛辣かつユーモラスに描いた物語。女性キャストだけが立つ壇上を見渡した江本は開口一番に「ソフトボール部の監督になったみたいですね!」と挨拶し、「今日は月に一度の『映画の日』、また私にとっては一生に一度の監督デビュー作品の封切り日となりました。『過激派オペラ』のワールドプレミアレイトショー?にお越しいただき本当にうれしく思っています」と話して笑いを誘う。
主人公・重信ナオコ役の早織はクランクイン前に行われた6日間のリハーサルを思い返し「最終日に江本監督と2人でお話する機会がありました。そのときに『あなたはこの現場の足を引っ張っている。どうして降りようと思わないの?』と聞かれたときが一番つらかったです」と打ち明けた。そして「重信ナオコとして現場にしっかり立っていられない私に、江本監督は真摯に向き合ってくださいました。本当に悔しかったですが、そのおかげで心の奥底から『どんなに足を引っ張っても絶対に降りてやらない!』と思えたんです」と述べる。
重信から狂おしいほどの愛情を向けられる女優・岡高春役の中村は「本当にとても濃い時間でした。作品自体がドキュメントに近いというか……」とリハーサルを振り返り、自身の演技については「江本監督に『人形じゃないんだから!』とお叱りを受け、がむしゃらに、とにかく死なないように生きないとと思って撮影に臨みました」と回想する。
劇団・毛皮族の主催者である江本は「演劇では、劇場にやって来たお客さんが、そのとき流れている時間や空間をどう感じるかということを大切にしてきました。でも映画は過去に撮ったものをお客さんに届けるので、“現在進行”の時間を作ることがとても難しいことになるだろうなと。ただ私は演劇をやってきた人間ですので、映画でも“現在進行”の時間を伝えることに取り組みたかった」と述懐。さらに「それを実現できるのは俳優の力なんじゃないかと思って。このキャストたちが“今”ここで生きているように見えるように撮りたかったので、現場で俳優たちが傷付いたり、がむしゃらになったりする姿をとにかく逃すまいと思いながら、リハーサルや撮影を繰り返していました」と演出の狙いを語った。
「過激派オペラ」は全国の劇場で上映中。
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リンク
- 「過激派オペラ」公式サイト
- 「過激派オペラ」予告編
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