スペイン現地時間9月23日に、第64回サンセバスチャン国際映画祭のコンペティション部門に出品された「
上映に先駆けて同地の名所ウルグル山を訪れた渡辺は「ここバスク地方はスペインの中でも言語体系や意識が違ったりと、ある種独立している感じ。そういう意味では、文化を受け止める土壌もまた1つインディペンデントな雰囲気があるのかなという気もします」と、サンセバスチャンの印象を語る。李は「地元の人に愛されている映画祭という雰囲気。自分の作品にスペイン語が付くのは初めてなので新鮮ですね。スペインは『情熱』というイメージを思い浮かべるので、パッションの強い『怒り』は相性がいいのかなと想像しています」と思いを巡らせた。
上映前の公式会見に登場した渡辺は「この映画を持って来られて、大変うれしく、誇りに思っております。人生と同じく複雑で悩ましい作品ですが、必ず心のどこかに響く作品だと思っています。エスケリック・アスコ!(どうもありがとう)」と、バスク語を交えてコメント。李は「自分が本気で誰かに理解してほしいことをなかなか伝えることができないもどかしさであったり、人はすぐ自分と何かが違うということで排除してしまうところがあります。映画を観た人が、作品の中のキャラクターたちが本気で抱えている問題を、自分のように感じられるにはどうしたらよいか、悲しみの奥の根っこには何があるのかを観ている人に感じ取ってもらいたいと思って表現を選んでいます」と自身の思いを語った。
本編上映後、渡辺と李には会場を訪れた1800人もの観客から大きな拍手と歓声が送られた。渡辺は「監督と僕とで映画に関わったスタッフ、キャストの熱い想いを背負って拍手を受けている気持ちがすごくしました。ものすごい力で我々の思いを受け止められ、胸を打ちました」と感動した様子だった。
本作は、千葉、東京、沖縄を舞台に、ある殺人事件の容疑者として浮上した3人の男たちと、彼らを取り巻く人々が信用と疑惑の間で揺れるさまを描いた群像劇。渡辺のほかに
※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
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渡辺謙 上映後コメント
映画を観たお客様が感じたものというのは、我々は推し量るしかないのですが、上映後、見送られながら階段を降りて振り返ったときに、監督と僕とで映画にかかわったスタッフ、キャストの熱い想いを背負って拍手を受けている気持ちがすごくしました。ものすごい力で我々の思いを受け止められ、胸を打ちました。
サンセバスチャンは、観客が観客のために祭りを作っている感じがします。そこに一緒にいられたことが心からうれしいです。また来たいというモチベーションになります。
李相日 上映後コメント
トロント国際映画祭の上映以上に、お客様は映画を集中して観ていました。冒頭の挨拶の頃は、お客様がざわざわしていたのですが、映画開始の1カット目から水を打ったように静かでした。(上映後の見送りでは)観た直後の人たちの気持ちというか、何かを僕らに返そうとする気持ちにやられました。
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「怒り」サンセバスチャン映画祭で上映、渡辺謙と李相日に1800人の観客が拍手 https://t.co/M9XrekblSi