9月7日、
このイベントは岩井の監督作「
1年ほど前に「闇金ウシジマくん」を最初から読み始めて感動したという岩井は「男の子が男の子に恋するスイートな話でやられて、これは傑作だと思って。一見ヤンキーテイストのマンガだと思われがちだと思うんですが、ものすごいデリケートな人間観察と人間描写によって作られている。本当に奇跡のような世界がそこにあって魅了されてしまった。一読者としてファンです」と開始早々から絶賛。真鍋は「サングラスをしていてよかった。今泣いていますよ」と照れて会場を沸かせる。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」は黒木演じる主人公・皆川七海が、さまざまな人々との出会いや奇妙な体験を通して成長していくさまを描いた物語。「七海のキャラクターは主体性がないという意見も聞くが、人間の主体性なんて自分が思っているほどはないもので、みんな何かに影響されて生きているのでは」と言う岩井に真鍋も深くうなずきながら、「自分も占い師に『もっと運気を上げるために白いタキシードを着て花を使って書道をしろ』と言われてやりましたもん」とエピソードを披露した。
真鍋はトーク番組「トップランナー」に岩井が出演していた際に、「SLAM DUNK」を熱心に読んでいたことを指摘。大のマンガ読みなのではないかと言われた岩井は、「マンガ家を目指していたことがあり、少年マガジン編集部に持ち込んだことがある。雨の日に小学生の男の子と女の子が留守番してるだけの地味な内容だけど、月例賞の佳作に入って。ネームで挫折して絵もあまりうまくなかったから実写(の世界)へ行ったんです」と打ち明ける。
続けて、能條純一の「麻雀飛翔伝 哭きの竜」は“外道系”のマンガで「闇金ウシジマくん」と同じ系譜と語る岩井は、「人物の顔にストロボをたいたときのシャドウが必ず入っている。麻雀と任侠の人生をこういうふうに描けるのかと驚いた。美学がすごいし発明だと思う」と考察。「絵と背景をどういうコンポジションで描くかということにマンガで最初に踏み込んだのは、上條淳士の『SEX』ではないかな」と見解を述べると、岩井が映画監督ならではの視点でマンガを読んでいることに真鍋が驚く。
岩井は「『ジョジョの奇妙な冒険』は、シリアスものからコメディに平気で変わるし、名前が同じなら主人公を変えてもかまわない、その自由さがうらやましい」「『闇金ウシジマくん』に出てくる『ニギニギ』という擬音は街のイライラ感が伝わる、マンガならではの表現」とマンガの魅力を伝え、「マンガ界がうらやましいのは人気があるマンガは面白いこと。映画はそこが違って、人がたくさん入っていてもその映画が面白いとは限らないですし」と吐露。「作家性のある監督はどういう人だと思うか」と真鍋に問われた岩井は「自分で物語を考えているかどうかが大きい。でも『闇金ウシジマくん』のゲイが主人公のエピソードを愛してやまないので、丁寧に愛情を込めて撮りたい」と再びウシジマ愛を語る。真鍋は「サングラスの奥でまた泣いていますよ」と感動を表した。
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