塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲が日活ロマンポルノ新作の完成報告

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「ロマンポルノリブートプロジェクト」の記者会見が本日8月24日、東京・日本外国特派員協会にて行われ、同プロジェクトで監督を務める塩田明彦白石和彌園子温中田秀夫行定勲が出席した。

「ロマンポルノリブートプロジェクト」記者会見の様子。左から塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲。

「ロマンポルノリブートプロジェクト」記者会見の様子。左から塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲。

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日活ロマンポルノの製作開始45周年を記念した「ロマンポルノリブートプロジェクト」は、新作製作と旧作の上映を通してロマンポルノ鑑賞の場を拡大することを目的とするもの。“10分に1回絡みのシーンを作る”“全作品が同じ製作費”といった既存のルールに加え、出席者が手がけた新作では“これまでロマンポルノ監督経験のない人”“オリジナル作品であること”が新たな条件として追加されている。

園子温

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監督作「ANTIPORNO」に対して「ポルノ業界を皮肉に描いているのでしょうか?」と聞かれた園は、「いや全然そんなことはないです」と断言。「今、ポルノを撮る必然性はないと思い最初は断ったんですが、でも日活さんから『必然性がないことを映画にしたら』と言われ、『ANTIPORNO』になりました」と経緯を語り、「ロマンポルノが作られていた時代と今は違う。センチメンタルな意味でのポルノは壊滅した。そんな中で女性の裸がどのように消費されるか、女性の権利と自由とは何かを考えて撮りました」と述懐する。また誰に向けて作品を作ったかを問われると「昨年は怒ることばっかりだった。この国に対するものとかいろいろなんですが、その怒りをぶつけたのがこの作品。誰に向かって作ったかと聞かれれば自分です」とコメントした。

白石和彌

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中田秀夫

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牝猫たち」を監督する白石は、田中登が手がけたロマンポルノ作品「牝猫たちの夜」とタイトルが似ていることを聞かれ、「僕は田中登作品を観ながら映画を勉強しました。デビュー作の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』のほうが強く影響が表れていますが、この作品もオマージュになっているんだと思います」と回答。ロマンポルノ作品を量産した小沼勝の助監督に付いていた中田は「小沼監督からは多くを学びました。でもこの話をもらってから参考にしたのは、曽根(中生)監督の『続・レスビアンの世界 愛撫』の脚本などです。だから小沼監督にはインスパイアはされたがオマージュというほどではない」と監督を務めた「ホワイトリリー」の制作時を振り返る。

塩田明彦

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塩田がメガホンを取った「風に濡れた女」は、第69回ロカルノ国際映画祭のインターナショナルコンペティション部門で若手審査員賞を受賞。そのことについて塩田は「今、ロマンポルノを撮ろうと思ったら、女性観客にも届くもの、その市場があることを意識することが重要だと考えていました。ロカルノでは、20代から60代まで幅広い女性に支持をいただけた。女性もこのような作品を求めているんだな、自分はその期待にある程度は応えられたんだなと実感しました」と思いを明かす。

行定勲

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板尾創路が主演を務める「ジムノペディに乱れる」について監督の行定は「実は、2本脚本を書いたんです。1本目は自分が観たいものを書いたんですが、日活からNGを食らって。それは女性目線が抜けてるからだったと思うんですけど、僕の個人的な“性の目覚め”を書いたものでした」と実現できなかった作品について言及。「そのあと、女性の脚本家を入れて再始動しました。独りよがりな男のどうしようなさを描いた作品が、彼女の視点が入ることで、女性も共感できるものになったのでは」と言葉を重ね、「だから女性に向けて作らされた」と冗談交じりに制作を総括すると、会場から笑いが漏れる。

左から塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲。

左から塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲。[拡大]

「日本の映画業界に不自由さを感じるか」と質問を受けた塩田は「映画業界で監督が完全に自由であることなんてありえない。キャスティングやシナリオ、場所や時期など常に不自由はつきまとう。その不自由とどのように向き合うかによって監督の力量が問われる」と返答。続けて「今日本では映画監督がオリジナルの企画を立てて作品を作ることが難しい。日活はそれを与えてくれた。『枠は作ったから自由に動いてくれ、その中で作家性を発揮してほしい』と言われ、それが素晴らしいと思い、賛同した」と本プロジェクトの意義を力説した。

「ロマンポルノリブートプロジェクト」によって製作される5作品は、11月中旬より東京・新宿武蔵野館ほか全国にて順次ロードショー。なお「風に濡れた女」「ホワイトリリー」「ジムノペディに乱れる」は、10月6日から15日にかけて韓国で行われる第21回釜山国際映画祭のミッドナイト・パッション部門に出品される。

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