山戸結希がジョージ朝倉への思いに、是枝裕和が阿部寛＆樹木希林との撮影に言及

本日3月23日、映画会社ギャガのラインナップ発表会が東京・渋谷ヒカリエにて行われ、「溺れるナイフ」の監督・山戸結希、「海よりもまだ深く」の監督・是枝裕和がそれぞれ登壇した。

ジョージ朝倉によるマンガの実写映画化に挑んだ山戸は、原作について「あんなふうに戦いたい、あんなふうに生きたいと思わせてくれた少女マンガは『溺れるナイフ』だけ」と語り、「そんな映画にしなければいけないと思っている」と言葉を続ける。また撮影現場では、キャストやスタッフとむき出しの心でぶつかり合ったと述べ、「青春映画の現場というのは青春そのものになっていくものなんだなと思いました」と述懐した。

発表会では同作でダブル主演を務めた小松菜奈、菅田将暉からのビデオレターを上映。小松は「海に飛び込んだり、山で追いかけ回ったり、いろいろな感情が芽生えた濃い3週間だった」と撮影を振り返り、菅田は「10代の男女が必死に、いろんな境遇とかに抗って一緒にいたいという気持ちを追求した、観た人がこれぐらいの熱量を持って人を愛したいと思える作品になっていると思う」と作品を評す。その言葉を受け山戸は「素晴らしいキャストに来ていただけた」と感謝の意を述べる。本作が11月に公開されることに触れた山戸は「日本中の女の子が無視できないような作品、願わくば世界中の女性に届くような作品に仕上げたい」と思いを明かした。

一方、自身が実際に暮らした団地を舞台に選んだ「海よりもまだ深く」が5月21日に封切られる是枝は、「久々に同団地を訪れたとき、僕が子供のときに育った風景とまるで変わっていたんです。子供がほとんどいなくなって、公園がお年寄りの憩いの場になっていた。自分の原風景が変わっていく様子を目の当たりにして、今の内に撮っておかなくてはいけないと思った」と制作の動機に言及する。

主演の阿部寛について是枝は「団地という狭い空間に阿部さんの存在は非常にミスマッチで、今回の映画にすごく合っていたと思います」とコメント。阿部と同様に脚本を当て書きしたという樹木希林に対しては「現場にいてくれるだけで自分の背筋が伸びる。監督としての自分を律してくれる存在」と述べ、「彼女の演技を見ていられるだけで幸せ」と心情を吐露した。

「一番僕に似ている作品で、無理をしないで作れた映画」と本作を評する是枝は「意識的に非常に小さな家族の話を作ったんですが、そのことによって狭い話や浅い話になるのではなく、普遍性を持った作品にすることができた」と自信をのぞかせた。