テレビドラマ「女王の教室」「家政婦のミタ」などで知られる脚本家・
遊川が脚本も手がける「恋妻家宮本」は、
千葉のロケセットで撮影が行われたのは、宮本夫妻がファミリーレストランを訪れる場面。メニューが多くなかなか決められない陽平を、美代子が無表情で見つめるというシーンだ。遊川は「ファミレスって人生と一緒ですよね。メニューから選んでも選びきれなくて、選んでも結局自信がないというか。でも前に進まなきゃいけないというのもあって。なのでこの作品は『ファミレス』のシーンで始めなきゃという思いがありました」と本作への思いを述べた。
遊川の演出について、阿部は「昨今の映画やドラマでは役者の演技は大きいところしか演出されないことが多いのですが、遊川監督は細部まできっちり100%演技の面倒をみてくれるので、非常に新鮮だし、楽しんでやらせてもらってます」と厚い信頼を寄せる。また天海は「阿部さん演じる陽平に美代子が酔っぱらってのしかかる、というシーンがあるのですが、リハのときから全力で乗っていっても阿部さんがいい感じに腹筋で止めているんですよ(笑)。遠慮せずいっても腹筋で私の体重を支えてくださるので、頼りがいがあって全力でどーんと行けました。安心感がやっぱり違うんですよね(笑)」と阿部との共演に関して語った。
「恋妻家宮本」は3月上旬にクランクアップ予定。2017年1月より全国で公開される。
阿部寛 コメント
遊川監督は脚本を書いていらっしゃることもあり、誰よりもその役とセリフをわかっている方なので、僕が演じたらやりすぎちゃうところも、監督の解釈で的確に演出をしてくださるので、この現場で迷うことは何もないんですよね。昨今の映画やドラマでは役者の演技は大きいところしか演出されないことが多いのですが、遊川監督は細部まできっちり100%演技の面倒をみてくれるので、非常に新鮮だし、楽しんでやらせてもらってます。
この作品は生きている中で一番多い「なんでもないこと」を表現していると思います。なんでもないことのなかに、面白さや切なさがあるんじゃないか、と今回(脚本を)読んでて思いました。また、この脚本のテーマでもある「大切なことは正しいことよりもやさしいこと」というのは目の覚めるような思いがして、正しいことを言うのは簡単だけど、やさしいことを言うのは難しいと思ったんです。そこはこの脚本の1つの宝物として自分の中に生涯持っていかなきゃと思いました。
天海祐希 コメント
ファミレスってなんだかわくわくしますよね、メニューもたくさんあって。待ち時間の間も阿部さんと2人で何がおいしそうだとか、今の季節はイチゴだね、とか言いながら撮影を楽しんでます。
阿部さんと遊川さんを見ていると、すごく理想的な関係だなと思います。阿部さんは器が大きくて、純粋かつ素直に監督の指示を聞いて、自分なりに消化してお芝居に生かされる方ですし、遊川監督はこうやってほしいっていうのを脚本家ならではの言葉で的確に伝えるので。遊川さん、監督向いてるかもなーなんて思ったりして。
この撮影で思ったのは、今回阿部さん演じる陽平に美代子が酔っぱらってのしかかる、というシーンがあるのですが、リハのときから全力で乗っていっても阿部さんがいい感じに腹筋で止めているんですよ(笑)。遠慮せずいっても腹筋で私の体重を支えてくださるので、頼りがいがあって全力でどーんと行けました。安心感がやっぱり違うんですよね(笑)。
この作品は日常何気なくいられることとか、なんでもないと思えることがどれだけ幸せで、何が大切なのかが、じんわりと沁みるように心に広がっていく映画なんじゃないかと思います。
いい大人だからこそできないこと、本当は伝えなければいけないのに伝えられない大人たちの背中を押してくれるような映画になったらいいなと。ぜひご夫婦で観に来てほしいです。
遊川和彦 コメント
ファミレスって人生と一緒ですよね。メニューから選んでも選びきれなくて、選んでも結局自信がないというか。でも前に進まなきゃいけないというのもあって。なのでこの作品は「ファミレス」のシーンで始めなきゃという思いがありました。
阿部さんは不思議な人で、すべてを素直に受け止めて、少年のように1回考えて咀嚼して演じる方です。すごくやりやすいです(笑)。失礼ですが、こんなに「一生懸命」という言葉が似合う人はいないです。この年になると普通一生懸命やる人はいないですからね(笑)。そこは人間的にも見習いたいです。
天海さんは新しい刺激を与えるほどどんどん新しいものが出てくる人で、新しい刺激に対して今まで見たことがない芝居をどんどん出せる人だと思います。
5~6年前だったら、この2人の夫婦役なんてリアリティがないんじゃないかと思いましたけれども、2人とも年齢を重ねて、そういう2人が夫婦として、一生懸命がんばって、でも少し疲れたりして、順風満帆ではなくいろいろな苦労をしてきて、これからどうなるんだろうという不安なんかも隠しもせずやっていこうという姿にリアリティが出てきて「あ、この夫婦なら共感できる」と思えるようになりました。
愛妻家ではなく恋妻家というタイトルにしたのは、愛妻家っていうとなんか「優しくしてやろう」「大事にしてやろう」みたいな上から目線になるじゃないですか、男って。でもそうじゃなくて、妻のふとした仕草が好きになったり、かわいい瞬間があって、そういう瞬間瞬間、恋する一日一日を積み重ねて夫婦って生き延びるんだと思うんです。年をとってもそういう恋するときめきみたいなものをいつまでも持てるんだという確信が持てる話になればいいと思ってます。ここに描かれているのは理想の夫婦ではないのですが、リアリティがあって、何が正しいかを決めるのではなく、優しいことをすれば、正しくなくても伝わるんじゃないか、毎日いろいろありますけども。とがんばっている夫婦の話です。
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