SF映画「あやつり糸の世界」予告編、ファスビンダーが描いた虚構の空間

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが手がけた「あやつり糸の世界」の予告編が、YouTubeにて公開された。

本作はダニエル・F・ガロイの小説「模造世界」をもとに、1973年に製作されたSFテレビ映画。仮想世界を作り出し、未来社会を予測できるスーパーコンピュータ“シミュラクロン”の開発研究所を舞台に起こる出来事を描く。同研究所に所属する科学者シュティラーはある日、保安課長ラウゼが忽然と姿を消し、エーデルケルンという別人が保安課長として存在している奇妙な事態に遭遇。シュティラーは真相を探るべく、自らシミュラクロンによって仮想世界に入り込むと、ある事実に突き当たる。

このたび公開された予告編では、クラウス・レーヴィッチェ扮する主人公シュティラー博士が真実を求めて仮想世界へ入り込む過程が映し出される。時折響く電子音とともに、数々のモニター機器やコンピュータが構築した多層的な世界らしき映像が挟み込まれていく。現実と仮想世界の境界で困惑するシュティラー博士の姿が「私は存在しないのか──？」との文言とともに浮かび上がる。

「あやつり糸の世界」は、3月5日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。