西川による同名小説をもとにした「永い言い訳」は、妻の事故死を他人事のようにしか受け取れない作家の津村啓こと衣笠幸夫と、同じ事故で母を失った兄妹とその父親・陽一を軸にしたヒューマンドラマ。兄妹との交流を通してこれまで感じたことのない生きがいを手にしていく幸夫を本木が、トラックの運転手として働く陽一を
2015年3月30日にクランクインし、竹原の誕生日でもある12月27日のクランクアップまで、季節をまたいで撮影が行われた本作。東京都内のカフェで行われた撮影には、本木、竹原、健心くん、玉季ちゃんが集結し、ラストカットで西川が「OK!」の声を出すまで緊張感があふれる現場となった。
本木は「季節をまたいでの撮影で、間があく時もありましたが、頭に心に監督のこと、役のこと、物語のことをいつも抱えていた1年でした」と振り返る。一方西川は「今はなかなかここで終わる感覚がなく、この作品がずっと続いて行って、子どもたちの成長や本木さんの変化やこの物語の続きを自分が撮っていくのではと錯覚するほどですが、終止符があるから映画はいいものになるのだと思っています」と述懐している。
「永い言い訳」は、2016年秋より全国ロードショー。
本木雅弘 コメント
幸夫という役に寄り添い、彼の持つ痛みを共有しながら、果たして何処に到達できるのだろうと思い巡らせながら、長い撮影の日々を過ごしました。
西川監督は、常々、小説とは切り離し映画は映画として必要なものを吟味したい、とおっしゃっていた通り、現場でも、いま目の前にある時間を掬い取り、きちんと作品に焼き付けていく、丁寧なこだわりが感じられました。つい自分にはお芝居の癖が出てしまったり、予定調和なことをやってしまったりしがちなのですが、その度にすっと軌道修正していただきました。監督は、時に鋭く、そして愛ある豊富な言葉を使って、幸夫を、僕自身を、監督のいう「かすかな幸福感」へと導いてくれた気がしています。
もしもこの映画が成功するとしたら、そのワケの6割以上は竹原ピストルさんのキャスティングにあるんじゃないでしょうか(笑)佇まい、声、その存在感が想像していた以上に陽一という役柄に深みを与えていました。僕も幸夫という役を借りながら、いやっ 役を越えて 竹原さんに魅了されていきました。同様にお芝居経験のほぼない健心くん(真平)や玉季ちゃん(灯)がリアルに魅力的だったので、それを眺めながら自然と思い入れていくことができました。
季節をまたいでの撮影で、間があく時もありましたが、頭に心に監督のこと、役のこと、物語のことをいつも抱えていた1年でした。そしてその時間が何かを熟成させ共通言語を生んで、より全体が一丸となっていくような撮影でした。夏編が終ったあとに監督から、『最後の冬編では、毒が抜け、新たに建て直す場所に立つ、更地の少年のような幸夫を見せてほしい』と言われまして、8キロほど痩せました。同時に気持ちもどこか軽く自由になって、ようやく幸夫と同化できたような気になりました。って遅いかあー、、、
完成の暁には、この『お作品』を通じて『ささやかな共感』が世に拡がることを願っています。
西川美和 コメント
本当に長きにわたった撮影でした。こんな経験は私も初めてだったのですが、ずっと長い時間をかけて丁寧に撮影することで、子どもたちもどんどん大きくなっていくし、キャストやスタッフの変化を受けて撮影していくことが当たり前になった気がします。今はなかなかここで終わる感覚がなく、この作品がずっと続いて行って、子どもたちの成長や本木さんの変化やこの物語の続きを自分が撮っていくのではと錯覚するほどですが、終止符があるから映画はいいものになるのだと思っています。
本木さんは、決して器用な方ではないけれど、前向きに進もうという気持ちを確実に持っていらっしゃる方だと思います。自分が想像していた合格点のラインをポンと抜けたカットが確かにあって、そういう瞬間を見させていただけたのは、本木さんご自身が持ってらっしゃる真っ直ぐさがあってこそだと思いました。
自分にとっても大変思い出深い経験になりましたし、キャストやスタッフの皆さんと丁寧に作品を温められたなという実感があります。限りある時間をとても大事に過ごさせていただいたと思います。
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【映画「永い言い訳」クランクアップ!】
西川美和監督の最新作「永い言い訳」(当社出資・制作、2016年秋全国ロードショー)がクランクアップ!西川美和監督と主演の本木雅弘さんのコメントが公開されました!→https://t.co/M2j966LfMF(映画ナタリー) #永い言い訳