本日10月23日、第28回東京国際映画祭のパノラマ部門に出品された「ジョーのあした-
本作は「どついたるねん」で知られる阪本が、辰吉を追ったドキュメンタリー。1995年製作の「BOXER JOE」で辰吉に魅せられた阪本が、1995年8月から2014年の11月までの20年間にわたって定期的に撮影を行い、辰吉の人間性やボクシングに対する考え、心境の変化などをフィルムに収めた。
観客からの熱烈な“辰吉コール”に迎えられ、会場に姿を現した辰吉と阪本。この舞台挨拶は東京国際映画祭のプログラムの1つであるため、通訳が英語で彼らを紹介すると、辰吉は驚いた様子を見せる。そして挨拶を求められた辰吉は「(自分は)俳優でもなんでもないんで。ボクサーなので、ちょっとドギマギします」と率直に心境を述べた。
本作について阪本は「引退したら発表しようと思って『作品になるのは4、5年後かな』と考えていたのですが、(辰吉が)なぜだか引退しなくて。それで、20年経ったのと(辰吉の長男)寿希也くんのプロデビューをきっかけにまとめました。辰吉くんには『俺が終わってないのになんで映画が先に終わるんだ!』と言われて」と冗談を交えながら語り、「『ジョーのあさってはいつ作るんだ?』とも言っていましたね」と辰吉とのやりとりを明す。それを受けて辰吉は「まあよく撮ったなと……感心します」とほほえみながらコメント。
また阪本は「“1人の男の引き際”をテーマに『リングを降りるのはどういう時なんだ?』と、引退のことをしつこく聞いたときの返答をまとめました」と作品の主旨を説明し、「ドキュメンタリーを作るという意識より、僕がこの人に興味があって、その真ん中にカメラがあっただけでした。インタビュー中に、これ以上聞くとパンチが飛んでくるなということは……なかったですね」と制作時を振り返る。また司会者に「監督からの質問に答えたくないと感じたときは?」と問われた辰吉は、しばし考えたあと「別にない」と阪本への信頼を感じさせる表情で答える一幕も見られた。
続いて「この20年間で2人の関係性に変化はあったか?」と司会者から質問が飛ぶと、辰吉は「いい関係ではありますけど、友達ではないですね」と即座に答える。すると阪本は「まあ友達ではないよね。俺の方がひと回り上だしね。辰吉くんは、僕のことを公には“監督”と言ってくれていますけど、プライベートでは“さかピー”、あるいは阪本さえもなくて“ピー”と呼んでいるんです。そういう関係ですね」と2人の親密さがうかがえるエピソードを披露し、会場を沸かせる。
終盤に挨拶を求められた辰吉は「何をしゃべったらいいやら……」とはにかみながらも「ありがとうございました」と、早朝からの上映に集まった観客にメッセージを送る。そして入場時と同様に観客の“辰吉コール”に送られ、辰吉と阪本は会場を後にした。
「ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-」は、2016年2月に劇場公開を予定している。
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