前作「
映画は、フェニックス演じる哲学科の大学教授が、生徒と恋仲になったことにより“実存の危機”に陥る様子を描く。過去作でも「マッチ・ポイント」や「
爆笑に包まれる会場を前にアレンは「誰の人生においても、突如大きな判断を迫られる状況が訪れるものだろう。それが正しい判断だとすれば問題ない。ホアキンのような判断をしてしまうと、分別がないと言えるだろう。周りの人々を見ると、みんな何か信じるものが必要なようだ。人生を意味のあるものにするのか、そうでないかはその選択にかかっている。例えば、人々は宗教を信じるがゆえに、分別を失ってしまうことがある。それでも良い人生を送り、死んだら天国に行けると信じている。それはホアキンが演じた男が、人生が良くなるようにと信じて選んだ道と変わらない。これが君の質問の答えになっているかどうかはわからないけれど、僕はそう思う」と淡々と語った。
そのほかにもモラルに関する質問や人生観に関する質問など、79歳の監督に集中して哲学的な質問が寄せられ、アレンはカント、フロイト、ニーチェらの名前を出して熱弁をふるった。記者会見の場はさながらウディ教授の映画哲学白熱教室のようだった。
また、既報のAmazonとのテレビシリーズ契約については、「イエスと言ったのは身の破滅を招くような間違いだった。まだ何も始めていないが、とても苦労している。映画を作るには長い時間がかかるが、30分の番組なら簡単だろうと思った。しかし、まったくそんなことはなかった。じたばたもがき続けているが、宇宙中に知れわたるような辱めになるかもしれない」と笑いを誘った。
公式上映前のレッドカーペットには夫人のスン=イー・プレヴィンを伴い現れ、「今作をどんな映画だと表現するか」という質問に、「大傑作映画だよ」と一言で答えていた。アレンは作品を作るごとにカンヌへ招待されているが、コンペティション部門での参加は断っているという。その理由は、「僕は競争が嫌いなんだ」とのこと。
ウディ・アレン コメント
いい映画を作るコツは、素晴らしいキャストをそろえることだけ。彼らに自由に脚本を変えてもらい、自由に演じてもらう。だって彼らは僕に会う前にすでに素晴らしいキャリアを積んで来ているのだから。監督の仕事は、彼らを邪魔しないこと。シンプルなことなんだ。そうすると「素晴らしい演出だ」と褒められる。それだけだよ。
エマ・ストーン コメント
ウディは素晴らしい監督よ。毎日撮影現場に遅れずに来るし、時間通りに撮影を終えて帰っていく。そして、撮りたいものがはっきりしていて迷いがない。脚本も素晴らしいし、褒めるところはいくつでも挙げられるわ。
パーカー・ポージー コメント
ずっとウディの監督作や脚本のファンでした。20年前に1度会ったことがあって、20年ぶりに彼のオフィスを訪れてこの役をいただきました。撮影はとても楽しくて、学ぶことも多かった。ずっとウディ・アレンの映画に出てくる女性が好きだったので、ウディ・ウーマンを演じられてうれしいです。
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Yuto Miyamoto @yutomiyamoto
ウディ・アレン教授の「映画哲学」白熱教室!?カンヌで舌好調トーク(映画ナタリー)http://t.co/CWbQAERrmC│『her』でホアキン・フェニックスは気になる俳優の1人に。