「戦場でワルツを」のアリ・フォルマンが語る「いい映画」とは

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3月22日、イスラエルの映画監督アリ・フォルマンがアニメーション作家の山村浩二と対談した。フォルマンは「戦場でワルツを」でアカデミー賞外国語映画賞の候補に、山村は「頭山」でアカデミー賞短編アニメーション賞の候補に挙がった経験を持ち、オスカーノミニー同士の顔合わせとなった。

アリ・フォルマン

アリ・フォルマン

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トークイベントは、東京アニメアワードフェスティバル2015での「コングレス未来学会議」上映後に行われたもの。本作は2014年度東京アニメアワードフェスティバルのコンペティション部門長編グランプリを受賞しており、審査員を務めた山村は作品に感動してフォルマンを質問攻めしたくなったと話す。

山村浩二

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「コングレス未来学会議」はフォルマンの最新作で、俳優の容姿をデータ化して映画を制作する世界を舞台にしたSF。ロビン・ライトが自身と同名の女優を演じ、ハーヴェイ・カイテル、ポール・ジアマッティらが共演している。フォルマンは、「当初主演はケイト・ブランシェットにオファーしていたのですが、ロサンゼルスで偶然ロビンと出会った際にオープニングショットのイメージが浮かび、『この人しかいない』と配役を変更したのです」と、オスカー女優との契約を破棄してまでライトを起用した経緯を明かした。

制作過程に話題が及ぶと、実写部分の撮影は容易に進行したものの、数カ国をまたいで作り上げるアニメーションパートでは、ディランというキャラクターの解釈に齟齬が発生し、まとめ直すのに8カ月を要したという。途中メイキングDVDの映像をスクリーンに映し出し、アニメーション制作に先駆けて生身の役者が演技をした撮影現場の様子などを紹介。アニメ作品においても「まず俳優を使う」演出方針を明らかにした。初期ディズニーのライバルだったアニメーション会社フライシャー・スタジオの作品を参考にしたとも話し、1970年代の日本の実写映画や、2010年に死去した今敏の作品からも影響を受けているという。

前作「戦場でワルツを」でも見られた現実と幻想を行き来するスタイルについて山村が質問すると、フォルマンはデヴィッド・リンチを引き合いに出し、「いい映画とは、リアリティとファンタジーという矛盾した要素を1つの世界で体験させてくれる作品」だと語った。山村は最後に、劇中に登場する製薬会社のカリスマ経営者に言及。フォルマンはまず「来日した外国人はみんな『日本が好き』と言うが、私の場合は本音なんです」と前置きして、日本の着物をまとったリーヴ・ボブスという名を持つそのキャラクターは、スティーヴ・ジョブズのパロディであると答えた。

最後に会場の観客へのメッセージを求められたフォルマンは、「この映画を気に入ってくれたなら、ぜひほかの人たちにも伝えてほしい」と話し、現在企画を進めている「アンネの日記」のアニメーション版について、日本でも一部を制作したいと意気込みを見せた。

「コングレス未来学会議」は、6月より新宿シネマカリテほかで全国順次公開される。

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映画配給会社・東風 @tofoo_films

【映画『コングレス未来学会議』】
昨日、東京アニメアワードフェスティバル2015で行われたイベントを映画ナタリーさんにご取材頂きました!
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