野菊の如き君なりき
ノギクノゴトキキミナリキ
製作:1955年(日本) / 配給:松竹大船
解説 原作は伊藤左千夫の有名小説『野菊の墓』。思い出の信州の故郷を何十年か振りに訪れた一老人の回想のなかに、旧家に生まれ育った少年時代の主人公と年上のいとこの、淡く美しく、そして悲しい恋の物語を描く。木下惠介の筆致は、最も脂の乗り切った時期の作品だけに、練達のリリシズムを感じさせる。若い二人の恋心は封建的な道徳観を持つ大人たちによって無理やり引き裂かれ、少女は他家へ嫁がされる。やがて少女は胸を病み、少年の手紙を抱いて死ぬ。老人は少女が好きだった野菊の花を墓前に供えるのだった……。回想場面を白地の楕円形のマスクで囲い、古い写真帖をめくるような手法が効果的で、詩情あふれる撮影も相まって涙なくしては見られぬ名作となった。
スタッフ |
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