秋津温泉
アキツオンセン
製作:1962年(日本) / 配給:松竹=松竹大船
解説 藤原審爾の小説を、岡田茉莉子が企画し、吉田喜重が脚色・監督した作品で、「ろくでなし」での鮮烈デビュー後やや低迷していた吉田の代表作となった。敗戦の直前、岡山県の山奥の温泉“秋津荘”に結核の治療でやって来た青年が、宿の娘の看病で一命をとりとめる。敗戦の知らせを聞いて、涙を流す純情で無邪気な娘に、暗い時代に絶望していた青年は、感動を覚え精神的にも救われた思いをする。その後も、彼は幾年かおきに秋津を訪れるが、年を追うごとに、堕落した俗悪な中年男に変貌していく。女も旅館の経営に行きづまり、時の流れを受け入れられずついには心中を図るが……。戦中戦後をくぐり抜けてきた男と女の情念を、美しい日本の四季を背景に描いた本作は、これまでの、松竹メロドラマの偶然のすれ違いによって結ばれないという定型を、思想的精神的なすれ違いに置き換えるという吉田の意図によって、戦後日本人の歩みをも表現。吉田と岡田はのちに結婚して、二人で数多くの作品を作ることになる。
スタッフ |
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キャスト |