哀しみのベラドンナ
カナシミノベラドンナ
上映時間:89分 / 製作:1973年(日本) / 配給:ヘラルド=虫プロダクション
解説 フランスの歴史家ジュール・ミシュレの著書『魔女』を題材にして、イラストレーター・深井国の原画を、そのまま静止画として使った手法が注目を集めた。同時にセル画による動画も併用され、両者の間に違和感は残るものの、その野心的な試みがもたらした衝撃は、早すぎた傑作と呼ぶにふさわしい。映画史的にも貴重な一作といえるだろう。中世フランスの農民の妻ジャンヌが主人公。無慈悲な領主にもてあそばれた彼女は、夫からも裏切られる。奈落の底で彼女がつのらせる神への不信、それがジャンヌのもとへ悪魔を招き寄せる。そして魔女となった彼女は、妖しい魅力で男たちを従えていく。肉体の快楽を、むしろ中世の暗黒からの人間の解放と捉えたミシュレ。その主張のドラマ化は、やや難解と思われたためか、興行的には失敗に終わっている。テーマを抜きにしても独特のエロチシズムをたたえた作品だけに、再評価の時が来ることを期待したい。
スタッフ |
監督:山本暎一 |
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キャスト |